中小企業で「賃上げ」傾向!それでも平均年収は「大企業」が優位?企業規模別の平均年収を解説
ただし、年収の差は業種や職種といった要素によっても大きく変わるため、「企業規模」だけにとらわれてはいけない点に注意しましょう。
この記事では、企業規模による年収格差について解説します。キャリアの選択肢を広げたい方は、最後まで読んで参考にしてください。
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大企業と中小企業の年収格差
まず結論として、大企業のほうが中小企業よりも、平均年収が高くなる傾向にあります。ここでは、厚生労働省が公表している、企業規模ごとの1ヶ月分の平均賃金を確認してみましょう。
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」から、企業規模ごとの平均年収を以下の表1にまとめました。平均年収は、単純に12ヶ月分として算出しています。
表1
| 企業規模(従業員の数) | 平均月収 | 平均年収 |
|---|---|---|
| 大企業(1000人以上) | 36万4500円 | 437万4000円 |
| 中企業(100~999人) | 32万3100円 | 387万7000円 |
| 小企業(100人以下) | 29万9300円 | 359万2000円 |
出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査の概況」を基に筆者作成
上記の表1から分かる通り、大企業と中小企業では約50万円、大企業と小企業では約80万円の年収差があります。
平均年収を上げたい場合は、大企業に就職したほうが目標を達成しやすいといえるでしょう。
賞与の支給率も大きく異なる
大企業と中小企業では、金額はもとより、賞与の有無に差がある点にも注意が必要です。いうまでもないことですが、賞与の有無で年収は大きく変わります。
厚生労働省の「令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」では企業規模ごとの賞与の支給率を公表しています。詳細は下記の表2を参考にしてください。
表2
| 企業規模(従業員の数) | 賞与を支給した又は支給する |
|---|---|
| 5000人以上 | 99.1% |
| 1000~4999人 | 95.4% |
| 300~999人 | 92.2% |
| 100人~299人 | 86.1% |
出典:厚生労働省「令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」 を基に筆者作成
上記の表からは、企業規模が大きくなるほど賞与を支給する割合が上がっていることが分かります。賞与の支給割合からも、大企業のほうが高い年収を得るには有利であるといえるでしょう。
福利厚生にも差がある
大企業と中小企業では、福利厚生に大きな差があります。例えば、退職金制度です。
厚生労働省が発表した「DC制度の環境整備」をもとに、企業規模ごとの退職金制度の割合について表3にまとめました。
表3
| 企業規模(従業員数) | 退職年金制度あり | 退職一時金制度のみ | 退職給付制度なし |
|---|---|---|---|
| 1000人以上 | 66.8% | 23.3% | 8.8% |
| 300~999人 | 51.6% | 37.8% | 11.1% |
| 100~299人 | 33.6% | 51.1% | 15.1% |
| 30~99人 | 16.0% | 54.1% | 29.5% |
出典:厚生労働省「DC制度の環境整備」を基に筆者作成
上記の表から、大企業とその他の企業では、退職給付制度の有無に差があることが分かります。従業員が1000人以上の企業では、退職給付制度を導入していない企業が8.8%なのに対して、100人以下の企業では29.5%です。
退職金制度は、福利厚生としては見落とされがちですが、大企業と中小企業の差が大きい項目であるといえるでしょう。
大企業の平均年収は中小企業よりも高い傾向にある
中小企業に比べて大企業の平均年収が高い傾向にあることは、公的なデータからも明らかです。しかし、年収には企業規模だけでなく、職種や業種といった要素も大きく影響することが考えられます。
年収の高い仕事を目指す際は、企業規模の大小のみではなく、職種や業種なども考慮して、広い視野でのキャリアを選択することが重要ともいえるでしょう。
出典
厚生労働省
令和6年賃金構造基本統計調査の概況(9ページ)
令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況(7ページ)
DC制度の環境整備(4ページ)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
