日本は手取りが少なすぎる!? 年収1000万円のときの手取りはどれくらい? 日本の「国民負担率」や諸外国の税率の特徴は?

配信日: 2025.07.04

この記事は約 4 分で読めます。
日本は手取りが少なすぎる!? 年収1000万円のときの手取りはどれくらい? 日本の「国民負担率」や諸外国の税率の特徴は?
「年収1000万円」と聞くと、多くの人が余裕のある生活をイメージするかもしれません。しかし日本では、税金や社会保険料が差し引かれ、手元に残る金額は想像以上に少ないのが現状です。
 
この記事では、年収1000万円の手取りがどれくらいなのかを紹介しつつ、日本・アメリカ・ヨーロッパ・シンガポールなどの税率の特徴を比較しながら、「手取り重視」の視点で各国の実情を分析します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

日本の年収1000万円の手取り額はどれくらい?

日本では年収1000万円と聞くと、高収入のイメージを抱く人も多いでしょう。では、年収1000万円の手取り額は実際どれくらいなのでしょうか。
 
控除など各種条件により変動しますが、所得税や住民税、厚生年金保険・健康保険などの社会保険料を差し引いた後、年収1000万円の会社員の手取りは、実質700万円~780万円程度にまで減少するといわれています。
 
財務省の「負担率に関する資料」によると、令和3年度(2021年度)の日本における国民負担率(対国民所得比)は48.1%です。OECD加盟国における国民負担率の比較を見てみると、全体の中間からやや低めの位置に属しています。
 
国民負担率には、社会保障や資産課税等、消費課税などが含まれており、実際の手取り額に影響します。世界各国と比較してみると税金の負担が特別大きいわけではないものの、社会保障や福祉などの公的サービスによる還元も相応に充実している程度であり、「低負担・中福祉」が特徴です。
 

税率が州によって異なるアメリカ

アメリカにおける手取り額は、州ごとに異なる税制度の影響を大きく受けます。連邦所得税は全国共通です。しかし、州所得税や地方自治体所得税などによって実質の手取りは変動し、テキサス州やフロリダ州のように州所得税がない地域では、手取りが比較的多く残ることもあります。
 
一方、カリフォルニア州やニューヨーク州のように州所得税率が高い地域では、手取りが減少する場合もあります。ただし、アメリカでは税制優遇制度や各種控除が充実しているため、個々の事情に応じて納税額を大きく圧縮できるケースもあるようです。
 
また、子どものいる家庭や共働き世帯への優遇措置も整備されており、家族構成により手取り額が実質的に増えることもあります。こうした柔軟な税制度がアメリカの特徴です。
 

高税率・高福祉が主流のヨーロッパ

スウェーデンやドイツ、フランスなどのヨーロッパ諸国では、高税率・高福祉のモデルが主流です。労働者に課される税金や社会保険料の負担率は国によって50%を超えることもあるようです。手取り額が少なくなる傾向があるものの、充実した社会福祉制度が特徴です。
 
こうした国々では、教育や医療が原則無料、育児支援も充実しており、「手取りが少なくても生活コストが低い」仕組みが整っています。
 
自由に使える可処分所得は必ずしも高いとは限りませんが、教育・医療・福祉などの生活コストが抑えられ、生活の質が高いことが特徴です。つまり、税金として収めた分が、生活サービスとして還元されている実感が得やすい社会構造となっているのです。
 
そのため、「税金を払っても見返りがある」という前向きな受け止め方がされやすい傾向にあります。
 

低税率の都市国家

都市国家の代表とされるシンガポールでは、日本や欧州などと比べて個人所得税率が低い傾向にあるため、手取りが高く保たれるのが特徴です。その代わり、医療や年金などのサービスは自己責任で備える必要があり、公的サービスの手厚さでは見劣りする側面もあります。
 
しかし、高い手取りを武器に、自助努力によって豊かな生活設計ができるのがこうした国のメリットです。特に富裕層や外資系企業に勤める人々にとって、税金の低さは大きな魅力であり、居住地選びの重要な判断材料ともなっています。
 

年収1000万円のときの手取りは700万円~780万円程度|日本の国民負担率は世界的に見て特別高いわけではない

日本における年収1000万円の手取りは700万円~780万円程度とされており、国民負担率は令和3年度(2021年度)時点で48.1%です。
 
世界的に見て特別高い国民負担率というわけではないようですが、社会保障や福祉などの公的サービスによる還元も相応に充実している程度であり、「低負担・中福祉」が特徴です。
 
アメリカのように州によって柔軟に課税される制度や、欧州のように高税率・高福祉で還元される制度、あるいはシンガポールのような自助努力の社会保障を基本とした低税率制度など、各国は自国の文化や政策理念に基づいてバランスを取っていると考えられます。
 

出典

財務省 負担率に関する資料
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集