中小企業の「7割」が賃上げ予定!? でも「前年より5%減」…その理由と「業種別の差」を解説
そこで今回は、賃上げ実施企業や給料の増加額、賃上げ率を調査しました。最も給料の増加額が大きい業種も紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
全体の69.6%の企業で給料が上がっている
日本商工会議所・東京商工会議所が2025年6月に発表した「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果」によると、調査に協力した企業のうち69.6%が、賃上げを実施、もしくは賃上げ予定と回答しています。
回答結果は、表1の通りです。
表1
| 回答内容 | 2025年 | 2024年 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 業績アップ・改善による賃上げ | 27.8% | 30.4% | −2.6ポイント |
| 業績の改善はないが賃上げ | 41.8% | 43.9% | −2.1ポイント |
| 調査時点では未定 | 23.5% | 20.4% | 3.1ポイント |
| 賃上げは見送り | 6.8% | 5.4% | 1.4ポイント |
※日本商工会議所・東京商工会議所「「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果」を基に筆者作成
賃上げ実施(予定を含む)企業のうち、業績アップや改善が見られるために給料をアップする企業は27.8%です。一方で、業績の改善が見られない状況下で給料を上げる企業は、41.8%となっています。前年と比較するとそれぞれ減少傾向にあり、合計で4.7ポイント下がっています。
賃上げ企業では月に1万1074円増加している
続いて給料が上がった企業では、実際にどれくらい増えたのかを見ていきましょう。正社員における給料の増加額や賃上げ率は、表2の通りです。
表2
| 2025年 | 2024年 | 前年比 | |
|---|---|---|---|
| 月給の増加額 | 1万1074円 | 9662円 | 1412円 |
| 賃上げ率 | 4.03% | 3.62% | 0.41ポイント |
※日本商工会議所・東京商工会議所「「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果」を基に筆者作成
月給の増加額は、前年よりも1412円多くなっています。業績アップによる賃上げを実施する企業は減っているものの、実際の給料の上がり幅は若干大きくなっているようです。このことから、賃上げに対して努力している企業は多い傾向にあるといえるでしょう。
業種別の賃上げ状況
業種別の賃上げ状況を確認しましょう。日本商工会議所のデータを基に、一部を抜粋して月給の増加額についてまとめました。
表3
| 業種(正社員) | 月給の増加額 | 賃上げ率 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 情報通信・情報サービス | 1万5860円 | 5.31% | 1.62ポイント |
| 金融・保険・不動産 | 1万5293円 | 5.11% | 1.80ポイント |
| 建設 | 1万1429円 | 3.91% | 0.62ポイント |
| 卸売 | 1万1426円 | 4.10% | 0.43ポイント |
| 製造 | 1万1014円 | 4.01% | 0.61ポイント |
| 宿泊・飲食 | 9424円 | 3.73% | 0.36ポイント |
| 運輸 | 9300円 | 3.78% | 1.26ポイント |
| 小売 | 8730円 | 3.50% | −0.51ポイント |
| 医療・福祉・介護 | 7002円 | 2.61% | 0.42ポイント |
※日本商工会議所・東京商工会議所「「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果」を基に筆者作成
給料の上がり幅が最も大きい業種は「情報通信・情報サービス」です。月給換算で1万5860円増加しており、賃上げ率は5.31%となっています。
また、平均賃上げ率「4.03%」を超えている業種は、情報通信・情報サービス、金融・保険・不動産、卸売の3業種のみです。さらに、建設業を加えた4業種では平均の「1万1074円」を上回っています。
しかし、宿泊・飲食、運輸、小売、医療・福祉・介護の4業種では、増加額が1万円を下回りました。業種によって、倍以上の差が生じていることが分かります。
全体の7割程度が賃上げを実施している! 業種では情報通信・情報サービスがトップ
日本商工会議所・東京商工会議所の調査によると、全体の69.6%の企業が賃上げを実施、もしくは実施予定と答えています。月給の増加額の平均は1万1074円、賃上げ率は4.03%です。
その中でも「情報通信・情報サービス」が最も増加しており、月給の増加額は1万5860円、賃上げ率は5.31%でした。
しかし、賃上げを行った企業の割合は前年よりやや減少しており、すべての企業で賃上げが実施されているわけではありません。それでも、業績に関係なく給料を引き上げている企業も多く、働きやすい環境づくりに前向きな姿勢がうかがえる結果といえるでしょう。今後、こうした動きがより広がっていくことが期待されます。
出典
日本商工会議所・東京商工会議所 「中小企業の賃金改定に関する調査」集計結果
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
