高校生の子どもが“就職希望”ですが、将来を考えると“大学進学”を勧めたいです。“大卒”と“高卒”の「生涯賃金の差」はどれくらいありますか?

配信日: 2025.07.18 更新日: 2025.10.21
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高校生の子どもが“就職希望”ですが、将来を考えると“大学進学”を勧めたいです。“大卒”と“高卒”の「生涯賃金の差」はどれくらいありますか?
高校生のお子さんから「大学に行かずに働きたい」と言われて、戸惑った経験はありませんか? 早く自立してほしい反面、「学歴で収入が変わるって本当? 」「大学に行った方が将来得なんじゃないの? 」と悩む保護者の方は少なくありません。
 
この記事では、大卒と高卒でどのくらい収入に差が出るのかを、厚生労働省などの公的データを元にわかりやすく解説します。また、学費などのコストも踏まえて本当に“大学進学がお得なのか”を冷静に比べてみましょう。進路を考えるうえでの大切な視点が見えてくるはずです。
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大卒と高卒の「初任給」はこんなに違う

最初に比べておきたいのが“スタート時点の差”です。厚生労働省が行った「令和元年賃金構造基本統計調査結果」によると学歴別の初任給は以下のとおりです。

●高卒の初任給
16万7400円
 
●大卒の初任給
21万200円

差額は月あたり約4.2万円。年間にすれば約50万円の差となり、ここからすでに収入格差が始まっています。もちろん職種によって変動はありますが、大卒の方が専門職や管理職候補として採用されやすい分、初任給も高めに設定されています。
 

生涯賃金では“数千万円”の差が出る

では、定年まで働いた場合の「生涯賃金」にはどのくらいの差があるのでしょうか?
 
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が行った「ユースフル労働統計 2023」によると、学歴別の生涯賃金は表1のとおりです。
 
【表1】

学歴 男性 女性
高卒 2億6000万円 1億9000万円
大卒 3億2000万円 2億5000万円

※正社員・フルタイム勤務の場合(筆者作成)
男女差もありますが、大卒と高卒の差は男性で約6000万円、女性で約6000万円となっています。つまり、大学に4年間通ったとしても、その後の40年で十分に“元が取れる”計算になります。
 

「大学費用と時間の損」は取り返せる?

では大学進学には、どのくらいのコストがかかるのでしょうか? 一般的な私立大学に通うと仮定すると以下のようになります。

●学費(4年間)
約500〜600万円
 
●生活費(仕送り等含む)
約600〜800万円
 
→ 合計約1200〜1400万円

さらに、高卒なら得られたはずの4年間の給料(約700万円)も機会損失として考えると、大学進学にはおよそ2000万円の“コスト”がかかることになります。
 
それでも、生涯賃金差(約5000万円)があるため、差し引きで約3000万円の“リターン”が期待できるのです。
 

それでも「高卒」を選ぶ子の気持ちも大切に

ここまで読むと「絶対に大学へ行くべき! 」と思うかもしれません。でも、お子さんの気持ちや得意分野、将来のビジョンも忘れてはいけません。
 
たとえば、職人・インフラ・運送・公務員など、高卒で安定した収入が得られる仕事も確かに存在します。また、「勉強より手を動かすのが得意」という子に、無理に大学を勧めるのは逆効果にもなりかねません。
 
ですから、「大学=正解」ではなく、「自分にとっての最適解」を一緒に考えることが大切です。
 

進路選びは“未来への投資”と“対話”がカギ

●大卒と高卒では、生涯で最大約4000万〜5000万円の差が出る
●大学進学にかかるコストは約1800万〜2000万円程度
●差額2000万円以上の「経済的リターン」や、人的ネットワーク・知識といった「見えない資産」も期待できる
●ただし、学歴よりも「本人のやる気と適性」が何より大事

「大学進学=将来の安心」とは言えますが、最終的に選ぶのはお子さん本人です。正しい情報をもとに、お金の話もオープンにしながら、“未来を一緒に描く”会話をしてみましょう。
 
将来の選択肢を広げるという意味では、大学進学はやはり強い武器になります。焦らず、でも今だからこそできる判断を、じっくり話し合ってみてください。
 

出典

厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査結果
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 2023
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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