勉強嫌いで「高卒でも営業なら高収入なんでしょ?」というわが子。親としては「大卒のほうがいい」と思うのですが、収入にどれだけ差がありますか? 高卒・大卒の“生涯年収”も比較

配信日: 2025.08.31 更新日: 2025.10.21
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勉強嫌いで「高卒でも営業なら高収入なんでしょ?」というわが子。親としては「大卒のほうがいい」と思うのですが、収入にどれだけ差がありますか? 高卒・大卒の“生涯年収”も比較
親としては、子どもが高校卒業後に進学するか就職するかというのは大きな問題です。中には、子どもが就職を希望しているけれど親は進学して欲しいと思っている、ということもあるでしょう。そんなときは、親はどのように子どもに声をかければよいのでしょうか? また、収入の面から見て、本当に高校卒よりも大学卒の方が有利なのでしょうか。
 
本記事では、初任給や生涯年収に関する統計や資料を提示しながら、子どもの学歴について考えていきます。
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「高校卒でも営業職なら高収入」は本当?

営業職というのは、基本的に幅広い学歴の人が就きやすい職業と言えます。特別な資格や経験を必要としない場合が多く、多くの会社で募集されています。
 
では、高校卒で営業職になると年収はどのくらいになるのでしょうか? 公的な統計はありませんが、転職支援企業によれば「およそ400~500万円」とされており、学歴不問の求人でも、年収400万円以上のものも多く見られます。
 
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、高校卒の平均的な賃金は28万8900円(月額)です。年収にすると約347万円になりますから、高校卒で営業職に就いた場合のほうが年収が高めになることが分かります。
 
営業職が稼げる理由は、歩合給(インセンティブ)があるからです。基本給は安いけれど営業成績が高ければ給料がプラスされるという仕組みで、トップ営業マンともなれば、月に100万円越えのインセンティブを得ることも可能だとアピールしている企業もあります。
 

大学卒のほうが高収入とされる公的資料

いくら子どもに「高校卒でも稼げる」と言われても、高校生の子どもを大学に進学させたい、と考える親御さんはいることでしょう。では、「大学卒のほうが良い」と子どもに提示するための資料にはどのようなものがあるでしょうか。
 

初任給を表す資料

厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査では、一般的な初任給が示されています。図表1は新規学卒者(新卒)の賃金を表しており、大学卒と高校卒では約5万円もの差があることが分かります。
 
図表1

図表1

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査より引用
 

生涯年収を表す資料

独立行政法人 労働政策研究・研修機構のユースフル労働統計2024―労働統計加工指標集―には、生涯年収についての記載があります。図表2は男女別の生涯賃金で、大学卒と高校卒では、男性なら約4270万円、女性なら約4750万円もの差があります。
 
図表2    生涯賃金(定年まで、退職金を含めない、2023 年)

図表2

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2024より引用
 

失業率を表す資料

独立行政法人 労働政策研究・研修機構のユースフル労働統計2024では、失業率についても調査されています。最も失業率が低いのが大学・大学院卒の2.2%で、高校卒が3.0%です。学歴が低くなるに比例して失業率が上がっていきます。
 

退職金を表す資料

厚生労働省が就労条件総合調査をもとに作成した統計「退職者1人平均退職給付額」では、退職金の平均額を知ることができます。大学卒で管理職、勤務年数35年以上なら退職金2037万円ですが、高校卒で現業職なら1471万円と、566万円も差があります。
 

年金を表す資料

退職後、年金を受け取る世代になっても、高校卒と大学卒では差があります。受け取れる年金額の目安は厚生労働省の公的年金シミュレーターで調べることができます。年金のうち、老齢基礎年金は働いた期間の年収に左右されませんが、老齢厚生年金は過去の年収が高いほど多くなります。
 

まとめ

高校卒と大学卒では、生涯年収と退職金だけで約4800万円の収入差があることが分かりました。場所によっては庭付き一戸建てが買えるほどの金額と考えると、大きな差ですよね。
 
大学へ行きたくない子どもを無理矢理に進学させるのが絶対に良いとは言い切れませんし、それぞれの家庭によって事情もさまざまでしょう。
 
しかし、就職を希望する理由が「高校卒でも高収入になれるから」ということなら、単に生涯年収などの違いを知らないだけかもしれません。子どもが「やっぱり大学へ行っておけばよかった」と後悔する前に、現実に存在する差を教えておくことは重要ではないでしょうか。
 

出典

厚生労働省 賃金構造基本統計調査2024年
独立行政法人 労働政策研究・研修機構のユースフル労働統計
厚生労働省 就労条件総合調査
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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