35歳で「年収1500万円」の友人。税金や社会保険料を差し引くと、実際に受け取れるのはいくらくらいでしょうか?
今回は、年収から手取り額を求める方法や年収1500万円の手取り額の金額目安などについてご紹介します。
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年収の手取り額の求め方
年収の手取り額は以下の手順で求めます。
(1)社会保険料額を求める
(2)年収から給与所得控除を差し引いて給与所得を求める
(3)配偶者控除や扶養控除など適用される控除がないかを確認する
(4)給与所得から社会保険料控除など適用される控除を差し引く
(5)(4)の金額から所得税や住民税の基礎控除を差し引いて各税金の課税所得を求める
(6)課税所得に税率をかける
(7)年収から社会保険料、所得税、住民税を引いた金額が手取り
単身世帯の場合、適用される控除は、基本的に給与所得控除、社会保険料控除、基礎控除の3種類です。
ほかに適用される可能性がある控除については、各控除の条件などを確認しておきましょう。今回は、基本的な3種類の控除を適用する場合について、社会保険料額や課税所得の求め方を解説します。
社会保険料の求め方
社会保険料のうち、健康保険料と介護保険料は加入している健康保険組合によって変わります。例えば、全国健康保険協会の場合、令和7年度で健康保険料と介護保険料は合計11.5%の保険料率です。
厚生年金保険料の保険料率は日本年金機構が示しており、令和7年度で18.3%です。健康保険料と介護保険料、厚生年金保険料は、求めた金額を企業と労働者側で折半して支払います。
この3種類の保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて求めます。標準報酬月額とは、税金が引かれる前の手当なども含めた月収で、金額ごとに区分した報酬月額に当てはめて決められた金額です。
一方、雇用保険料は、年収や月収に保険料率をかけて求めます。労働者が負担する分の保険料率は厚生労働省から公表されており、令和7年度における一般の事業の雇用保険料率は、0.55%です。
課税所得と税額の求め方
基本的な控除以外に適用される控除がない場合、課税所得は「給与所得-(社会保険料控除+基礎控除)」で求められます。
基礎控除の金額は所得税と住民税で異なり、令和7年度の所得税の基礎控除は最高95万円で所得が高くなるにつれて減少します。住民税の基礎控除は、合計所得金額2400万円以下の場合43万円です。
所得税は課税所得金額に応じた税率と控除額を適用して計算します。所得税率は累進課税制度を採用しており、所得が高いほど税率も高くなる点が特徴です。
住民税は、原則として全国一律で「税率10%」の所得割と、定額の均等割で構成されています。所得割は所得に関係なく計算式が一緒です。ただし、各自治体は財政上など必要と認めた場合は自らの判断で税率を定めることができるため、地域によって変動するケースもあります。
年収1500万円の手取りはいくら?
今回は以下の条件で、年収1500万円だった場合の手取り額を計算します。
・東京都江東区在住35歳単身世帯
・健康保険は全国健康保険協会に加入
・賞与は考慮しない
・年収を12ヶ月で割ったものを報酬月額とする
・適用する控除は給与所得控除、基礎控除、社会保険料控除のみ
・社会保険料や各控除は令和7年度のものを使用
条件を基に試算した社会保険料額は以下の通りです。
・健康保険料:年75万5148円(9.91%、介護保険第2号被保険者非該当の場合)
・厚生年金保険料:年71万3700円
・雇用保険料:年8万2500円
・社会保険料合計額:155万1348円
また、給与所得控除は195万円のため給与所得は1305万円、所得税の基礎控除は58万円です。これらの条件を基にすると年収1500万円の手取り額は表1のようになります。
表1
| 所得税課税所得 | 1091万8000円 |
| 所得税率、控除額 | 33%、153万6000円 |
| 所得税額 | 206万6940円 |
| 住民税課税所得 | 1106万8000円 |
| 住民税所得割+均等割 | 10%+5000円 |
| 住民税額 | 111万1800円 |
| 手取り額 | 1026万9912円 |
※筆者作成
年収の手取り額を月額に置き換えると、約85万6000円になります。ただし、実際の手取り額は、世帯や控除の状況などによって変動する可能性があるため、あくまでも参考として考えてください。
年収1500万円の手取りは1027万円程度になる可能性がある
年収からおおよその手取り額を求めたいときは、社会保険料額や所得税、住民税額を求めて算出します。今回のケースでは、年収1500万円で手取り額の目安は約1027万円、月額換算で約85万6000円でした。
ただし、実際の手取り額は、控除や扶養の状況などさまざまな要因によって変わる可能性がありますので、あくまでも目安として考えてください。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
