「年収800万円」と聞くと高収入に思えますが、“住宅ローンの返済”と“教育費”がかかる家庭でも余裕のある暮らしはできるのでしょうか?
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目次
年収800万円の手取りはおおむね600万円程度! 住宅ローンと教育費が家計を圧迫する理由
「年収800万円」は、厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」より、1世帯あたりの平均所得金額である536万円を大きく上回る高水準といえます。
しかし、額面の800万円がそのまま自由に使えるわけではありません。所得税や住民税、社会保険料などが差し引かれるため、家族構成などにもよりますが、実際の手取り額は年間でおおむね600万円前後、月額に換算すると50万円程度になるのが一般的でしょう。
この「手取り600万円」の中から、住居費、教育費、食費、通信費、そして将来への貯蓄を捻出することになります。特に30代から40代の働き盛りで、住宅ローンと子どもの教育費の負担が重なる時期は、生活に「余裕がある」と断言できる家庭は決して多くありません。高収入という意識から生活水準を上げてしまい、固定費が膨らんでいるケースも見られます。
住宅ローンは年収の6倍から7倍が目安! 返済負担率25%以内に抑えて教育費を捻出する
住宅ローンを組む際、年収の約30%から35%程度が返済負担率の目安ですが、教育費との両立を考えるなら20%から25%以内に抑えるのが理想的でしょう。年収800万円の場合、年間の返済額を160万円から200万円程度に留めることが、家計のパンクを防ぐ基準と考えられます。
年収800万円であれば、4800万円から5600万円程度の物件価格がひとつの目安になりますが、これに諸経費や維持費が加わります。もし6000万円を超える無理なローンを組んでしまうと、手取り額に対して住居費の占める割合が高くなりすぎてしまい、後述する教育費の積立てに大きな支障をきたすことになりかねません。
余裕のある暮らしのためには、借入可能額ではなく、無理なく返せる額を算出することが不可欠です。
大学卒業までに800万円以上? 教育費は実際どれくらいかかる?
住宅ローンと並んで家計の大きな負担となるのが教育費でしょう。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高校卒業までの15年間をすべて公立に通った場合でも、約600万円の学習費がかかります。
さらに、同じく文部科学省の「国公私立大学の授業料等の推移」を基に、大学入学から卒業までの4年間にかかる費用目安を試算すると、国立大学で約240万円、公立大学で約250万円、私立大学で約400万円です。
つまり、子ども1人が大学を卒業するまでに、すべて公立・国公立でも800万円以上、大学まですべて私立を選択すれば2000万円以上の資金が必要になる可能性があります。もし子どもが2人以上いる場合、教育費のピーク時には家計が赤字に転落するリスクもはらんでいるのです。
固定費の見直しが鍵! 年収800万円で心にゆとりのある暮らしを実現するためには
年収800万円という所得がありながら、住宅ローンや教育費によって生活に窮屈さを感じる状況を打破するには、徹底した家計の「見える化」が最も有効な手段となるでしょう。
コンビニでの買い物やサブスクリプションサービス、高額な通信費といった小さな支出が積み重なり、使途不明金が多くなる場合があります。まずはスマートフォン決済やクレジットカードの明細を確認し、無意識に使っている固定費を削減することから始めてみましょう。
日々の家計管理を適切に行い、将来の大きな支出に備えることが、年収800万円という収入水準を有効に活用し、安定した生活基盤を築くうえで重要といえます。
出典
厚生労働省 2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況 II 各種世帯の所得等の状況(9ページ)
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査 4 幼稚園から高等学校卒業までの15年間の学習費総額(18ページ)
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
