残業代が月「5万円」増えて喜んでいたら、妻に“社会保険料も上がるかも”と言われました。働いた分、手取りは本当に増えるのでしょうか?

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残業代が月「5万円」増えて喜んでいたら、妻に“社会保険料も上がるかも”と言われました。働いた分、手取りは本当に増えるのでしょうか?
年金、健康保険、介護保険などの社会保険料は、毎月の給与や賞与の額に応じて徴収されます。しかし、社会保険料の計算には、実際の給与額や賞与額を用いるのではなく、標準報酬月額や標準賞与額が用いられます。
 
今回は、社会保険料の種類と保険料額および計算に用いられる標準報酬月額と標準賞与額について詳しく解説します。
辻章嗣

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

社会保険料の種類と保険料額

会社員から徴収される社会保険料には、厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険などがあります。このほか、2026年度から子ども・子育て支援金(※1)が徴収されることになりました。今回は厚生年金、健康保険、介護保険、子ども・子育て支援金について見ていきましょう。
 

1.厚生年金保険料

毎月の給与と賞与から徴収される厚生年金保険料は、標準報酬月額と標準賞与額に一定の保険料率18.3%を乗じて計算されます。そして、算出された保険料を労使が折半して負担します。したがって、労働者が支払う厚生年金保険料は、下式により算出されます(※2)。
 
毎月の給与から徴収される厚生年金保険料=標準報酬月額×18.3%÷2
賞与から徴収される厚生年金保険料=標準賞与額×18.3%÷2
 

2.健康保険料と介護保険料

毎月の給与と賞与から徴収される健康保険料は、標準報酬月額と標準賞与額に会社が加入する健康保険組合が定める保険料率を乗じて計算されます。そして、算出された保険料を労使が折半して負担します(※3)。
 
多くの中小企業が加入している全国健康保険協会の協会けんぽでは、都道府県別に保険料率を定めており、2026年度の東京都の保険料率を例にすると下式のとおりとなります(※3)。
 
(1)介護保険第2号被保険者に該当しない方(40歳未満)
毎月の給与から徴収される健康保険料=標準報酬月額×9.85%÷2
賞与から徴収される健康保険料=標準賞与額×9.85%÷2
 
(2)介護保険第2号被保険者に該当する方(40歳以上65歳未満)
毎月の給与から徴収される健康保険料・介護保険料=標準報酬月額×11.47%÷2
賞与から徴収される健康保険料・介護保険料=標準賞与額×11.47%÷2
 
(3)介護保険第1号被保険者に該当する方(65歳以上)
毎月の給与から徴収される健康保険料=標準報酬月額×9.85%÷2
賞与から徴収される健康保険料=標準賞与額×9.85%÷2
 
加えて、居住する市町村が定める介護保険料が前年の所得額に応じて徴収されます。
 

3.子ども・子育て支援金

毎月の給与と賞与から徴収される子ども・子育て支援金の額は、標準報酬月額と標準賞与額に国が定める一律の支援金率を乗じて算出され、これを労使が折半して支払います。2026年度の支援金率は、0.23%となっています(※1)。
 
したがって、労働者が支払う子ども・子育て支援金の額は、下式により算出されます。
 
毎月の給与から徴収される子ども・子育て支援金額=標準報酬月額×0.23%÷2
賞与から徴収される子ども・子育て支援金額=標準賞与額×0.23%÷2
 

標準報酬月額と標準賞与額

社会保険料の計算に用いられる標準報酬月額と標準賞与額について解説します(※2、3)。
 

1.標準報酬月額とは

被保険者が受け取る税引き前の給与を一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を、保険料の計算に用います。給与には、基本給のほか残業手当や通勤手当などが含まれます。
 
標準報酬月額は、毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、年1回改定されます。また、固定的賃金の変動などにより報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があった場合には、標準報酬月額の随時改定が行われます。
 

2.標準賞与額とは

税引き前の実際の賞与の額から千円未満の端数を切り捨てた額です。なお、標準賞与額の上限は、厚生年金保険では1カ月あたり150万円、健康保険・介護保険および子ども・子育て支援金では年度累計573万円です。
 

まとめ

社会保険料は、標準報酬月額や標準賞与額に制度ごとに定めた保険料率を掛けて算出され、それを労使が折半して支払います。標準報酬月額は、毎年4月から6月までの報酬月額を基に改定され、1年間は給与月額に変動があっても基本的に変わることはありません。
 
したがって、残業手当が一時的に増えても社会保険料に反映されることはありませんが、4月から6月の3ヵ月間を通じて残業代が上がった場合、標準報酬月額に反映され社会保険料が増えることになります。
 

出典

(※1)こども家庭庁 子ども・子育て支援金制度について
(※2)日本年金機構 厚生年金保険の保険料
(※3)全国健康保険協会 令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)
 
執筆者 : 辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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