「月収25万円・賞与年100万円」ですが、会社から「来年度から賞与を月給化する」と言われました。税金などで“手取り”が減らないか心配ですが、損にならないでしょうか? メリットを確認
「毎月の給与が増えると税金や社会保険料が高くなり、結果として年間の手取りが減ってしまうのではないか」と不安に感じる人も少なくありません。しかし、年収総額が変わらないのであれば、必ずしも手取りが減るとは限りません。
むしろ、働き方によっては収入面でメリットを受けられるケースもあります。本記事では、賞与の月給化によって税金や社会保険料、手取りがどう変わるのか、労働者側に期待できるメリットについて、具体的なシミュレーションを交えながら解説します。
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目次
税金や社会保険料の年間総額は大きく変わらない
年収総額が変わらない場合、年間を通した負担額は大きく変わらないのが一般的です。
所得税や住民税は、毎月の給与額だけで決まるものではなく、「その年の1月1日から12月31日までの年間所得」を基に計算されます。例えば、月給25万円に賞与100万円が支給される年収400万円でも、賞与を廃止して毎月約33万3333円を支給する場合でも、年間の総収入が同じであれば、納める税額は基本的には変わりません。
健康保険料や厚生年金保険料についても、総報酬制では毎月の給与だけでなく賞与にも保険料がかかります。これまで賞与支給時にまとめて差し引かれていた保険料が、12ヶ月に分散して給与から天引きされる形になるだけです。
標準報酬月額や標準賞与額の区分によって、多少の差が生じる場合はありますが、年収総額が変わらないのであれば、年間の社会保険料や年間の手取りが大きく変わるケースは多くないでしょう。
月給化するメリットは「残業代の時間単価」が上がること
賞与の月給化によって、労働者が金銭的なメリットを受けやすい代表例が、「残業代(割増賃金)」です。
労働基準法第37条では、残業代は毎月支払われる賃金を基に1時間当たりの賃金を算出し、そこへ割増率を掛けて計算すると定めています。賞与は、この計算の基礎となる賃金には含まれません。そのため、年収が同じであっても、基本給や月給が高いほど残業代の単価は高くなります。
実際にどのくらい差が出るのか、月の所定労働時間を160時間として算出してみましょう。変更前(月給25万円)の残業単価は、「25万円÷160時間✕1.25=約1953円」です。
変更後(賞与100万円を12分割し、月給約33万3333円となった場合)の残業単価は、「33万3333円÷160時間✕1.25=約2604円」となり、残業単価の差は約651円となります。
仮に毎月20時間の残業をした場合、「651円✕20時間=約1万3020円」となり、年間では約15万6000円の差になります。
実際には、各種手当や固定残業代の有無などによって異なりますが、賞与を基本給へ組み込むことで、残業代が増える可能性があることは大きなメリットです。
なお、会社によっては、基本給ではなく「諸手当」の形でボーナス分を上乗せしてくるケースがあります。手当の種類によっては、残業代の計算基礎から除外されてしまうこともあるため、制度変更の際は改定内容をしっかり確認しておくのが確実です。
会社の業績による「ボーナスカット」の影響を受けにくくなる
収入面だけでなく、家計の安定という観点でも、月給化にはメリットがあります。
賞与は、法律で支給が義務付けられているものではないため、景気悪化や業績不振などによって、支給額が減額されたり、支給されなかったりする可能性があります。
一方、基本給は労働条件の重要な要素であり、会社による一方的な減額は原則として認められていません。賞与が月給へ組み込まれることで、毎月の収入が増え、安定しやすくなります。
その結果、住宅ローンや教育費、老後資金などの長期的な家計設計が立てやすくなるでしょう。
賞与の月給化は労働者にとってメリットが期待できる制度変更
会社から提示された「賞与の月給化」は、年収総額が変わらない前提であれば、必ずしも労働者に不利な制度変更ではありません。
税金や社会保険料は、年間の総収入を基に決まるため、年間の負担額や年間の手取りが大きく変わるケースは多くありません。一方で、残業代の計算基礎となる時間単価が上がり、残業時間が多い人ほど収入増につながる可能性があります。
さらに、会社の業績によって変動しやすかった賞与の一部が毎月の給与として支給されることで、収入の安定性も高まるでしょう。
もちろん、就業規則や給与制度の内容によって実際の影響は異なりますが、賞与を月給へ振り替える制度は、労働者にとってメリットが期待できるケースが少なくありません。制度変更の内容を確認したうえで、自身の働き方や家計への影響を冷静に判断することが大切です。
出典
総務省 個人住民税
日本年金機構 さ行 総報酬制
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
