都内勤務「40歳・年収500万円」の会社員…“それなりに稼いでる”はずが、実際「東京で働く40代」は“年収644万円”が平均と聞きショック! 500万円は少なすぎですか? データをもとに解説
ただ最近のSNSなどでは「都心在住、20代で年収1000万円超」などと自称する投稿やアカウントを目にすることもあり、年収と年齢にコンプレックスを抱く人も少なくありません。
現代日本、特に東京都内で働く人の、リアルな年収と生活とはどのようなものなのでしょう。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
東京都と全国で、「労働者1人当たり年収」はどれほど違う?
まず、日本全体における40歳代の平均年収を確認し、「年収500万円」の労働者はどの程度の立ち位置にあるのかを見てみましょう。
国税庁のまとめた「令和5年分民間給与実態統計調査」によれば、日本の給与所得者全体の平均年収は約460万円となり、年代別に見ると、40代前半(40~44歳)の平均年収は約500万円となっています。
しかし、これはあくまで全国の「平均値」であり、一部の高所得者が数字を押し上げている傾向があります。より実態に近い「中央値」で見れば、年収500万円は決して低い部類には入りません。ごく一般的な、しっかりとした中堅層の収入であると評価できるでしょう。
一方、厚生労働省のとりまとめた賃金構造基本統計調査(令和6年賃金構造基本統計調査一般労働者都道府県別)によると、「東京都内の事業所で働く一般労働者」に限ってのデータでは、年収相当額は労働者1人あたり平均で「約644万円」まで上昇します。
40~44歳の労働者に限れば「約721万円」となり、全国の平均値である「年収500万円」では、やや物足りない収入額になる印象です。
東京都内には多くの企業やその本社機能が集まっており、そこで働く労働者の賃金水準も高くなりやすいことがうかがえる調査結果です。
年収500万円で「都心部在住」は厳しいが、「都内在住」は可能
年収500万円程度で、「勤務地が東京で、かつ家族を養う立場」となると、さらに状況は厳しくなります。東京の物価、特に家賃の高さが家計を大きく圧迫するからです。
夫の年収が500万円、妻がパートタイムで年収100万円を得て、子ども1人を養育している「世帯年収600万円」の家庭を想定してみましょう。この場合、税金や社会保険料を差し引いた手取り額は、年間約470万~480万円(月額換算で約39万~40万円)程度となります。
ここで、東京都内のファミリー向けマンションの家賃相場を「SUUMO東京版」のデータから見てみると、港区、渋谷区、中央区といったいわゆる「都心部」の場合、築年数や駅からの距離にもよりますが、2LDK~3LDKの家賃相場は「20万~30万円超」になってしまいます。
もし月々の手取りが40万円程度の家庭で、毎月20万円を家賃に支払ってしまえば、残る生活費はわずか20万円ほどです。
総務省の家計調査(二人以上の世帯)によると、住居費を除いた毎月の平均的な生活費(食費、光熱費、教育費、保険料など)は約25万~30万円程度かかりますので、生活費の平均に全く届かず、生活が破綻してしまうリスクすらあります。
このように「都心部での生活」を前提とした場合、世帯年収500万~600万円程度では家族を養うのは厳しいというのが現実ですが、東京都内でも「郊外の市部」に住むのであれば、状況は一変します。
同じ「SUUMO東京版」のデータを参考にすると、たとえば東京都青梅市や八王子市においては、築年数が古いものであれば月額8万円程度の家賃で70平方メートル~80平方メートル台のマンションや一戸建て住宅を賃貸することができます。この程度の住宅費であれば、世帯年収600万円程度でも将来に向けた貯蓄や投資をすることは十分可能でしょう。
もちろん、都心の会社に勤めている場合は通勤時間が長くなるなどのデメリットはありますが、「日本人の平均」程度の世帯年収で東京都に住むには、やむを得ない妥協だと思われます。
「世帯の年収額」よりも「生活満足度」を追求してほしい
日々働き、日本の平均年収程度を得て生活をしていながらも、SNSなどでさかんに喧伝される「高収入世帯のきらびやかな生活」のようなものを目にしてしまうと、焦りや不安感が押し寄せてくるのは自然なことです。
ただ、その不安感に追い込まれて無理な働き方をしたり、怪しい投資話などに乗ったりしてしまえば、生活自体が破壊されかねません。
人生で大事なことは「世帯の年収額」では決してなく、「世帯の生活満足度」なのだと、筆者は声を大にしてお伝えしています。
現在の生活に不満があるのであれば、まずは今の年収でどのように生活満足度を高めることができるかを、生活費の安い場所への引っ越しも含めた大胆な選択肢も頭に入れて、現実的かつ真剣に検討しましょう。年収を高めるために努力することも大切ですが、それは家計を見直して生活と心を安定させてから、じっくり取り組んでいただきたいです。
まとめ
東京都内で働く40歳代の平均年収と比較すると、年収500万円はやや低い水準にあります。仮にこの年収額で家賃水準の高い東京都心部に住もうとすると、家計はかなり圧迫されてしまうでしょう。
しかし、住む場所を都内の市部(郊外)などに移し、家賃を適正な範囲に抑えることができれば、生活のゆとりは劇的に改善します。SNSの華やかな情報に惑わされず、自分たちの身の丈に合った住環境を選ぶことが、家族の生活満足度につながります。
出典
国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」
厚生労働省賃金構造基本統計調査/令和6年賃金構造基本統計調査一般労働者都道府県別
総務省統計局 家計調査(二人以上の世帯)
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

