ご近所さんに開業医がいますが、意外と普通の車に乗っています。開業医は高収入というイメージがありますが、実際にはどのくらい自由に使えるお金があるのでしょうか?
では、開業医は実際にどのようなお金が手元に残り、どの程度を自由に使えるのでしょうか。また、クリニックを経営するうえでは、どのような支出や備えが必要になるのでしょうか。本記事では、開業医の収入の考え方やクリニック経営に必要な支出、自由に使えるお金について解説します。
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目次
開業医は売り上げのすべてを自由に使えるわけではない
開業医は高収入というイメージがありますが、「クリニックの売り上げ」と「院長が自由に使えるお金」は同じではありません。
個人で診療所を経営している場合、売り上げから人件費や家賃、医薬品代など、事業に必要な経費を差し引いた金額が所得のもとになります。つまり、クリニックに多くの売り上げがあったとしても、その金額をそのまま院長個人の収入として考えることはできません。
クリニックの運営には、看護師や受付スタッフなどの人件費をはじめ、家賃、光熱費、医薬品代、医療機器の購入・維持費など、さまざまな支出が発生します。それに加えて、医療機器の故障や設備の修繕など、想定外の費用が必要になることもあるでしょう。
そのため、売り上げが大きいクリニックであっても、院長が生活費や買い物などに自由に使える金額は、売り上げよりも少なくなります。開業医のお金事情を見る際は、売り上げの大きさだけでなく、経営にどの程度の費用がかかっているかもあわせて考えることが大切です。
開業医はクリニックの経営にも備える必要がある
開業医は医師であると同時に、クリニックを運営する経営者でもあります。そのため、日々の経費だけでなく、医療機器の故障や設備の更新、患者数の減少など、将来起こり得るさまざまな事態に備えなければなりません。
日本医師会総合政策研究機構が日本医師会会員の診療所院長を対象に実施した「令和7年 診療所の緊急経営調査」では、2024年度の経営収支について、個人立と医療法人のいずれも前年度から悪化したと報告されています。こうした結果からも、診療所の経営が常に安定しているとはかぎらないことが分かります。
そのため、収入が比較的多い院長でも、将来の支出に備えて事業用の資金を確保しておくが重要です。特に高額な医療機器を使用する診療科では、突然の故障によって修理費や買い替え費用が発生する可能性もあります。
こうした経営上の負担を考えると、収入が多くても、そのすべてを生活費や趣味などに回せるわけではありません。開業医が堅実な生活を送っているように見える背景には、こうした将来への備えがある場合も考えられます。
税金や生活費を差し引くと自由に使える金額はさらに少なくなる
個人開業医の場合、必要経費を差し引いて算出した事業所得が、そのまま自由に使える金額になるわけではありません。そこから所得税や住民税などを負担する必要があるため、実際に手元に残るお金はさらに少なくなります。
また、住宅費や教育費、老後資金など、家庭ごとの支出も考えなければなりません。さらに、クリニックの開業時などに借り入れをしていれば、その返済も資金計画に影響します。
このように、開業医が実際にどの程度のお金を自由に使えるのかは、売り上げや所得だけでは判断できません。診療所の規模や診療科、経費の金額に加え、家族構成や生活費、借入金の有無などによっても大きく変わります。
そのため、年収が高いという情報だけを見て、「自由に使えるお金も多い」と考えるのは早計です。開業医のお金事情を考える際は、税金や生活に必要な支出まで含めて見ることが大切でしょう。
開業医の年収だけで生活の余裕を判断しないようにしよう
開業医は多くの収入を得ることがありますが、クリニックを経営している以上、売り上げのすべてを個人的に使えるわけではありません。人件費や家賃、医療機器などの経費がかかるほか、税金や将来の設備投資に備えるための資金も必要になります。
そのため、一般的な車に乗っているからといって、収入が低いとはかぎりません。実際にどの程度のお金を自由に使えるかは、診療所の規模や経費、借入金、家庭の支出などによっても異なります。
開業医が堅実な生活をしているように見えても、その背景にはクリニックの経営や将来への備えがあるかもしれません。年収の高さだけで生活に余裕があると決めつけないようにしましょう。
出典
国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)
公益社団法人日本医師会 「令和7年 診療所の緊急経営調査」結果を公表 ―全診療科で減収減益となっていることが明らかに―
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
