相続税を抑えたい…生命保険による相続税対策の効果はどれくらいなの?

配信日: 2019.10.14

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相続税を抑えたい…生命保険による相続税対策の効果はどれくらいなの?
相続税対策を検討する際に必ず話題にあがるのが生命保険です。本稿では、生命保険の課税関係を確認してから、具体的な事例に基づいて生命保険による相続税対策の基本を説明します。
 
廣岡伸昌

執筆者:廣岡伸昌(ひろおか のぶまさ)

ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
宅地建物取引士 ※試験合格
貸金業務取扱主任者 ※試験合格

大阪大学法学部卒。経済学修士(計量経済学)
地方銀行、コンサルティング会社を経て、現在、大手金融グループに勤務。その傍らでFPオフィスを運営して、お金に関する記事の執筆、相談業務を行っています。
専門分野は相続、資産運用、ローンなど個人向けのFP領域全般です。

生命保険の課税関係と非課税額

前提として、どのような内容の生命保険契約に相続税が課税されるのでしょうか。死亡保険金に相続税が課税されるのは、被相続人が保険料負担者かつ被保険者である生命保険契約に基づいて、死亡保険金を取得した場合です。
 
そのうち、保険金受取人が保険料負担者の相続人である場合は、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税となります。この非課税額を利用して、相続税の課税価格を引き下げることで節税につながるのです。
 
なお、契約の当事者の組み合わせによっては【表1】のように、相続税ではなく所得税や贈与税が課税される場合もあります。まずは、ご自身が契約している生命保険の保険証券などで契約内容を確認のうえ、どのような税が課されるのか知っておきましょう。
 

 

生命保険を利用した相続税対策のイメージ

それでは、具体的な事例で生命保険による相続税対策のイメージを確認しましょう。前提条件は下記のとおりとします。なお、以下の事例は生命保険による節税の効果を伝えるためのものであり、記載以外の条件は考慮していません。
 
<前提条件>
・Aは相続税対策として保有している現預金から保険料を支払って、以下の生命保険契約を締結する
※いずれの保険契約も相続開始時点の解約返戻率は支払い済み保険料の80%
 

 
・Aの現状における保有財産は現預金2億円、不動産1億円(相続税評価額)
・Aの法定相続人は妻B、長男C、次男Dの計3名
 
生命保険(1)、(2)の契約締結により、一時払保険料計4800万円を支払ったため、対策後の現預金は1億5200万円となります。
 
Aの相続が開始された場合は、生命保険(1)で死亡保険金3000万円が支払われます。このとき、相続人である妻Bが保険金受取人であるため、非課税額として1500万円(500万円×3人)が認められます。
 
生命保険(2)については、被保険者が妻Bであり、Aの相続開始時点でまだ保険事故が発生していないので、当然ながら死亡保険金は支払われません。ただし、解約返戻金などがある契約の場合は、相続人はそれを受け取る権利、すなわち「生命保険契約に関する権利」を取得し、相続財産となります。
 
なお、「生命保険契約に関する権利」の価額は相続開始時点において当該契約を解除した場合に支払われる解約返戻金の額によって評価することとされています。この事例では相続開始時点の解約返戻率は支払い済み保険料の80%であるため、評価額は1600万円(2000万円×80%)となります。
 
生命保険による相続税対策を実施した結果、相続税の課税価格の合計額は【表2】のとおり3億円から2億8300万円となり1700万円減少します。このとき相続税の総額は対策前が5720万円、対策後が5125万円となり、595万円の節税効果を得ることができます。
 

 
なお、生命保険の非課税額については、各相続人が取得した保険金の割合に応じて、各相続人に案分されます。上記事例では生命保険(1)の保険金受取人は妻Bであり、妻Bの課税価格から非課税額の全てを減額するかたちになります。
 
いかがでしたでしょうか。保有財産が相続税の基礎控除を超えるような場合は、生命保険をうまく活用して節税につなげられないかを検討してみましょう。
 
執筆者:廣岡伸昌
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
宅地建物取引士 ※試験合格
貸金業務取扱主任者 ※試験合格


 

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