最終更新日: 2020.07.09 公開日: 2020.07.12
相続

相続における上場株式の評価は、新型コロナでどんな影響を受ける?

執筆者 : 大泉稔

新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請などもひと段落しましたが、社会や経済が元の状態に戻るのはまだまだ時間がかかりそうです。新型コロナウイルス感染症による経済への影響は、今後どのようになるのでしょうか?
 
本稿では、相続における上場株式の相続税評価について述べた後、未曽有のアクシデントにより経済にも影響があった東日本大震災の際の、相続における上場株式の評価について見ていきます。
 
大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

大泉稔

執筆者:

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

上場株式

上場株式とは、東京証券取引所などで売り買いの取引を行うことができる株式のことです。亡くなった人から上場株式を相続した場合、その上場株式の評価はどのようにされるのでしょうか?
 
ちなみに、東京証券取引所などで売り買いの取引を行うことができない株式を、未上場株式ということもあります。

相続における上場株式

相続における上場株式の評価は、「相続のあった日」の最終価格(=終値)で行うのが原則です。
 
ただし、「相続のあった日」の最終価格に比べて、「相続のあった日の属する月」から3ヶ月の間の、毎日の最終価格(=終値)の各月平均額のうち、最も低い価額を上回る場合には、その最も低い価額によって評価します。
 
・相続のあった日の終値
・相続のあった日の毎日の最終価格の平均
・相続のあった日の前月の毎日の最終価格の平均
・相続のあった日の前々月の毎日の最終価格の平均
以上を評価に用います。
 
例えば、相続のあった日が6月12日だったとして、以下のような例があったとしましょう。
 
6月12日の終値 680円
6月中の毎日の終値の平均 687円
5月中の毎日の終値の平均 695円
4月中の毎日の終値の平均 650円
3月中の毎日の終値の平均 640円
 
ということで、「4月中の終値の平均 650円」を評価に用いることになります。

相続税の納税のタイミングと上場株式の評価のタイミングにズレがある

相続税の納税は、相続の開始があったことを知った日から10ヶ月以内となっています。
 
ところが、上場株式の評価は、「相続のあった日の終値」と「それ以前の月の毎日の終値の平均」を用いますので、相続税の納税のタイミングと上場株式の評価のタイミングに、大きなズレがあるのが分かりますね。
 
このタイミングのズレの例として記憶に新しいのは、東京電力の株価です。2011年2月23日に2197円の高値を付けていましたが、同年6月9日には148円まで下落しています。2011年とは、東日本大震災とそれに伴う原発事故が起きた年です。

■タイミングのズレが問題になったケース

当時、東京電力の株式を保有していた人が2月23日に相続が起き、遺産の分割協議などの手続きを行っている最中に、東日本大震災が発生し、株価が大きく下落してしまいました。
 
「株価が大きく下落してしまった株式なんて、だれも相続したがらずに困っています」と、相続の手続きを行っていた税理士が筆者に相談を持ち掛けてきました。
 
そもそも亡くなった人は、「低金利の定期預金よりは配当が良く、安全そうな電力会社の株式を持ちたい」というスタンスで保有していたのが東京電力の株式でした。
 
また、相続人は全員、証券会社との付き合いがなく、株式投資の経験もありませんでした。このような状況では、株価が大きく下落した株式を相続するのをためらうのは当然のことかもしれません。
 
さらに、相続税の納税のタイミングと上場株式の評価のタイミングのズレが、大きな問題となりました。筆者に相談を持ち掛けてきた税理士いわく、「東京電力の株式をすべて売却し、現金化したとしても、東京電力の株式の相続税の納税資金には足りません」とのことでした。
 
そこで、遺産の分割協議をやり直し、東京電力の株式はすべて奥さまが相続することになりました。「相続税の配偶者の税額軽減」によって、奥さまは相続税を納税する必要がなかったからです。

まとめに代えて

新型コロナウイルス感染拡大の影響、および第2波の懸念により、株式市場が順調とは言いきれない状況になってきているようです。
 
上場株式の相続が見込まれる方で、投資の経験があまりないということでしたら、株の所有者や相続人と相談をし、株式や投資信託などを売却して現金化しておくのも選択肢の1つです。
 
ただし、売却を検討する際には、今の状況を整理する意味でも専門家に相談することをお勧めします。
 
(参考)
日本経済新聞「東京電力ホールディング(株価)」
日本経済新聞 2011年12月30日「2011年の株価、下落率首位は東電 上昇上位に復興関連」
国税庁「No.4632 上場株式の評価」
国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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