相続や離婚のときに知っておきたい<公正証書>とは?

配信日: 2021.05.09

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相続や離婚のときに知っておきたい<公正証書>とは?
「公正証書」は、相続や離婚など人生の重要なタイミングにおいてトラブルにならないようにするために利用できる、公的な書面です。どのようなもので、どんなメリットがあるのか、どうやって利用するのか解説します。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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公正証書とは? トラブル防止に役立つ書面

公正証書は、「公証役場」という役所で「公証人」という立場の人が作成する公的な書面です。法的なトラブルを防ぐために作成されます。それは、公正証書には以下のようなメリットがあるからです。
 

■公正証書のメリットは「法的な証拠力」

公証人は、判事、検事、法務事務官などを長く務めた法律のプロです。プロがあいだに入って書類を作成しているので、その内容に法的におかしい箇所がないことはもちろん、原本が公証役場に保管されるため紛失や改ざんのリスクを防ぐことができます。
 
そのため当事者同士が自分で作った「私文書」よりも、法的な証拠力が強いとされています。あとからもめごとが起きて裁判などの事態に発展しても、公正証書に書いてある内容に背いたほうが不利になります。
 
また、公正証書で定めておけば、相手が約束を破ったときに強制執行(給与や不動産の差し押さえなど)といった強力な手段を、裁判を経ずに実行できるようになります。
 

■公正証書が利用されるシーン

公正証書が利用されるのは、例えば以下のような場合です。
 

●遺言……遺産相続についての意思表示。
●任意後見契約……将来認知症になったときに備えて財産管理などを行う後見人を設定。
●金銭消費貸借……借金の契約時、返済を滞納した場合に強制執行できるように。
●離婚……離婚時に、財産分与や慰謝料、親権者や養育費などの合意内容を記録。

 

公正証書の作成方法

公正証書を作るときの一般的な流れは、次のとおりです。
 
公正証書を作成するため、まずはその内容をどのようにしたいのか考えます。内容がおおむね決まったら、公証役場に連絡して、公証人と打ち合わせする日時を設定します。
 
公証役場は、あまり知られていませんが全国に300ヶ所ほどあります。日本公証人連合会のサイトなどで、最寄りの公証役場をチェックしてみましょう。
 
打ち合わせで公正証書に記載する内容の案と必要書類の確認を済ませたら、公証人がそれをもとに文章を作成してくれます。作成当日は、本人と立会人(証人2人)が出向きます。文章ができたらそれを当事者が確認し、問題なければ署名と捺印をして正本・謄本を受け取って完了です。
 

■必要書類

本人を確認するための書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)と印鑑は必ず持って行きましょう。法人の場合は、法人の登記簿謄本、代表者印とその印鑑証明書などです。
 
そのほか、以下のような書類も提出します。
 

●遺言の公正証書を作るなら……戸籍謄本、固定資産税納税通知書、不動産の登記簿謄本、証人や遺言を実行する人(遺言執行者)の情報など
 
●離婚の公正証書を作るなら……戸籍謄本、固定資産税納税通知書、不動産の登記簿謄本、年金分割のための年金手帳など

 

■手数料

公正証書の作成にかかる手数料は、その行為で得られる利益の金額(目的の価額)にもとづいて、以下のように設定されています。
 

(出典:日本公証人連合会「手数料」)
 
遺産、慰謝料、養育費など公正証書に記載される金額が大きくなるほど、手数料が高くなっていくイメージです。
 

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まとめ:後のトラブル防止に「公正証書」を活用しよう

公正証書は、自分で書類を作るのと違って公証役場に出向いたり手数料がかかったり、面倒に感じるかもしれません。しかし、それでも利用を検討するだけのメリットがあります。
 
あとで厄介なトラブルに発展して、時間もコストも気力も大幅に消耗してしまうより、トラブルになる前の段階で少し手間をかけてでも予防しておいたほうがよい場合もあります。重要な契約などの際には、こうした公的な制度も味方につけてみてはいかがでしょうか。
 
(出典)
法務省「公証制度について」
日本公証人連合会
「必要書類」
「手数料」
神田公証役場「公正証書作成のための必要書類」
岡山公証センター「遺言公正証書の作成手順」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

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