更新日: 2021.06.24 その他相続
離婚したら財産は自分の子どもへ渡る?
しかし、相続は別問題です。親権を失ったので、親子関係が終了した! と思い込んで、離婚し別居した子どもへの相続を考えていないという人はいませんか?
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』 https://www.voicemarche.jp/advisers/781
法律で遺産を引き継ぐ人
離婚をしても、親子関係が終わるわけではありません。離婚をしても自身の遺産を、前妻との間の授かった「子ども」も、引き継ぐ権利があります。簡単な相続関係図で説明したいと思います。
まず、民法で定められた相続を受け継ぐ人を「法定相続人」と呼びます。そして、相続できる割合を「法定相続分」と呼びますが一定のルールがあります。また、亡くなった人(相続資産を残す人)のことは、「被相続人」と呼びます。
法定相続人になる可能性のある家族は、以下の人です。
●配偶者
●子ども
●直系尊属(父母・祖父母)
●兄弟姉妹
しかし、家族構成により、組み合わせに変動がありますのでここは注意が必要です。また、家族構成により相続割合は変わってきますので、ご注意ください(ここがややこしく、間違えるポイントです)。
今回は離婚をして、前妻にも後妻にも子どもがいる場合のケーススタディーを確認してみましょう。
忠さん(仮名)は、前妻との間に「恵子さん(仮名)」、後妻との間に「一郎さん(仮名)」という子どもがいます。
〇配偶者の権利は非常に守られており「常に優先」となります。
〇子どもがいる場合は「配偶者」と「子ども」のみが対象です。
残念ながら、「直系尊属」や「兄弟姉妹」は法定相続人とはなりませんので注意してください。
前妻の子の相続割合はどうなるの?
離婚をしても親子関係は変わらないので、前妻との間の子ども恵子さんも「法定相続人」だということは理解できたと思います。
では、前妻との子どもと、後妻との子どもの割合はどうなるのでしょうか?
〇配偶者:2分の1
〇子ども:2分の1(全員で)
上記のように、配偶者は全体の半分(2分の1)を1人で相続する権利があります。一方子どもは、全員でその半分を分割します。母親が違っても、恵子さんも一郎さんと2人で残りの半分(2分の1)を相続します。
<3人子どもがいる場合>
仮にもう1人子どもがいたとしましょう。その場合は、3人で分けることになります。ですから、1人あたりの持ち分は「4分の1」から「6分の1」となるのです。
3人目の子どもがいる場合、前妻の子でも、後妻の子どもでも「相続割合」に変わりはありません。
<前妻にだけ子どもがいて後妻にはいない場合>
もし、前妻にだけ子どもがいて、後妻に子どもがいない場合はどうなるのでしょうか。基本の考え方は変わりません。配偶者は常に1人です。なので、半分(2分の1)の権利があり、前妻の子どもに、人数が何人であれ、全員で半分(2分の1)の権利があります。
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認知をした子どもがいた
もし、結婚をしていなくても「認知」した子どもがいれば同じことです。初婚ですが、結婚前に認知した子どもがいる場合はどうなるのでしょうか? このケースでも、結婚している子どもと同様です。
相続診断士の活動をしていると「認知」している子どもというのも、お目にかかるケースがあります。男性の中には「妻子にばれたくない。墓場まで持っていく」という考えの方もいらっしゃるようですが、そうなると被相続人の死後もめることもあります。いわゆる「争族」ですね。遺族のためにも、生前に相続対策をしっかりし対策をしてください。
死後の世界のことは、誰もエビデンスを持って証明はできません。しかし、人生100年時代、「終末の品格」「死後の品格」を持って過ごすことが、凛とした仕舞い方(終い)だと思います。
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士