更新日: 2021.08.31 相続税
「孫を養子」にしたら意外な落とし穴。相続税が加算されるって本当?
ここでは、孫を養子にした際の相続税の2割加算やそのほかの注意点と、孫を養子にすることで得られる相続上のメリットについて解説します。ぜひこの記事を読んで、養子縁組をする前によく検討してみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員
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孫を養子にした場合の相続税の「2割加算」とは?
孫などの、配偶者および被相続人の一親等の血族以外の人が相続や遺贈、相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した場合、相続税額に2割相当の金額が加算されます。
注意しなければならないのは、孫を養子とするいわゆる「孫養子」の場合です。孫養子は法律上、実子と同じ一親等となりますが、例外的に2割加算が課せられます。
ただし、孫養子の親(被相続人の実子)が相続発生時に亡くなっており、孫養子が親の代襲相続人になる場合は、2割加算の対象外となります。
孫を養子にする相続上のメリットは?
孫を養子にすると相続税が加算されるデメリットがありますが、あえて養子にするメリットもあります。孫との養子縁組みを検討するときには、2割加算で増える相続税額と養子にするメリットのどちらが大きいかを、比較するとよいでしょう。
孫を養子にする主なメリットは次のようなものです。
●相続税の非課税枠が増える
●祖父母から孫へ1回の相続で財産を引き継げる
それぞれ、詳しくみてみましょう。
相続税の非課税枠が増える
相続税を計算する際、非課税部分のうち次の項目は、法廷相続人の人数をもとに算出します。
●基礎控除額:3000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
●生命保険の非課税限度額:500万円 × 法定相続人の数
●退職手当金の非課税限度額:500万円 × 法定相続人の数
孫を養子にすると法定相続人の数が増えることにより、基礎控除額および非課税限度額が増え、そのぶん相続税の課税対象額が減ることから、受け取れる相続財産が増えることになります。
祖父母から孫へ1回の相続で財産を引き継げる
通常、祖父母の財産が孫に引き継がれるには、「祖父母から孫の親」「孫の親から孫」という2回の相続を経る必要があります。したがって相続税も2回分清算しなければなりません。
孫を養子にすると、祖父母の財産を孫が直接相続できます。相続を1回スキップできるため、その分相続税を抑えられる可能性があります。
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孫を養子にする場合の相続の注意点
孫を養子にすることで、相続上のメリットを想定どおり得るには、次の2点に注意する必要があります。
●相続税の計算でカウントされる養子の数には制限がある
●節税目的の養子は相続税の計算でカウントされない
これらを失念すると「孫をわざわざ養子にしたのに……」と、がっかりすることになりかねません。
以下で詳しく解説します。
相続税の計算でカウントされる養子の数には制限がある
相続人に被相続人の養子が含まれる場合、相続税の基礎控除額や生命保険・退職手当金の非課税限度額を計算する際の法定相続人に含める養子の数には、次のような制限が設けられています。
●被相続人に実子がいる:1人まで
●被相続人に実子がいない:2人まで
孫が多人数いる場合でも、養子縁組をした数に比例して節税効果が大きくなるわけではないため、注意してください。
節税目的の養子は相続税の計算でカウントされない
相続人のなかに養子がいる状況で、養子の存在が相続税の負担を不当に減少させると判断されると、相続税の計算上、養子を法廷相続人の数に含めることができない場合があります。「相続税の負担を不当に減少させる」とは、わかりやすくいうと、相続税対策目的の養子縁組であるということです。
養子縁組に合理的な理由が認められない場合や、相続発生直前の養子縁組などは、相続税対策と指摘される可能性があるため注意しましょう。
孫を養子にする相続上のメリット・デメリットを理解しましょう
孫を養子にすることが、相続税の節税に効果的なケースもあります。しかし、相続税の2割加算など、デメリットもあることに注意しましょう。また、はなから節税を目的に孫と養子縁組をすると、税務署から指摘されるケースもあります。
孫を養子にすることを検討するなら、メリット・デメリットをしっかりと理解することが大切です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員