更新日: 2021.10.27 その他相続

亡くなった親の「入院給付金」。受け取ると相続放棄ができなくなる可能性がある?

亡くなった親の「入院給付金」。受け取ると相続放棄ができなくなる可能性がある?
親が亡くなったあと、医療保険に加入しており未請求の「入院給付金」や「手術給付金」がある場合、相続人である子どもが手続きを行います。しかし、これらの保険金は、受け取れば相続放棄ができなくなる可能性があることを知っていますか。
 
本記事では、相続放棄とは何か、親の「入院給付金」は受け取れないのかなどを詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

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サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

相続放棄とは

遺産相続と聞くと、亡くなった人の預貯金や不動産などの「プラスの財産」を想像する人が多いでしょう。しかし、借金を残していれば、その分も「マイナスの財産」として扱われます。
 
遺産相続は、プラスもマイナスもすべて相続することであり、マイナスの財産が多ければ「相続放棄」することも可能です。
 
「相続放棄」とは、被相続人の財産に対する相続権のすべてを放棄すること。必要な書類を提出し、裁判所が判断します。
 
相続放棄するケースはいくつか挙げられます。よくあるのが、明らかに負債が多いケースや、相続トラブルに巻き込まれたくないケースなどです。相続放棄は、相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内と期限があるため、なるべく早く決断することが大切です。
 

保険金は「受取人」が重要になる

親の入院給付金や手術給付金、生命保険などの保険金が受け取れるかどうかは「受取人」が誰かが大きなポイントです。そこでこの見出しでは、大きくわけて3つのケースで詳しく解説します。
 

受取人が親の入院給付金や手術給付金のケース

親が亡くなったあとに本来親が受け取るはずの入院給付金や手術給付金、通院給付金などの保険金を、子どもが受け取った場合、財産の単純承認をしたとみなされます。入院給付金や手術給付金などは、本来親がもらうお金であることから、相続財産として扱われます。
 
そのお金を受け取れば、「財産を相続すると選択した」ことになるため、相続放棄ができなくなるわけです。
 
医療保険の給付金は、ほかにも先進医療給付金などがあります。したがって、主契約以外に特約の内容もあわせてよく確認しておくことが大切です。
 

生命保険は相続放棄しても受け取れる

親の生命保険の受取人が子どもに指定されていれば、相続放棄しても保険金は受け取れます。「受取人が指定されている」生命保険は、親の財産ではなく受取人(子ども)固有の財産となるためです。
 

受取人が親の場合は受け取れない

亡くなった親が生命保険の受取人になっている場合は、親が受け取るお金なので「相続財産」とみなされます。したがって、相続放棄した場合は保険金を受け取れません。保険金を受け取れば、単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなります。
 
入院給付金などの保険金は、単純承認するつもりがなくても、つい受け取ってしまうこともあります。通常であれば、あまり大きな問題になることはありませんが、相続放棄を考えている人は注意が必要です。
 

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死亡保険金は相続税の課税対象になる

死亡保険金は、本来は相続財産ではないが被相続人の死亡を原因として相続人が受け取った財産(みなし相続財産)として相続税の課税対象になります。通常であれば、下記で挙げる生命保険金の非課税枠が使えます。
 
■500万円×法定相続人の数=非課税限度額
 
しかし、相続放棄した場合は「相続人ではない」とみなされます。したがって、保険金を相続放棄した人が受け取った場合、非課税枠は使えないことを理解しておきましょう。
 

相続放棄を考える場合の保険金は受取人が重要!

親が亡くなったときに、入院給付金など未請求の保険金がある場合は、受取人が誰なのかが重要です。基本的に入院給付金や手術給付金は、受取人が親本人である可能性が高いため、保険金を受け取れば相続放棄ができなくなります。
 
保険金の受取人が子どもであれば、相続放棄していても受け取れますが、相続税の課税対象となるため注意が必要です。
 
もし、相続放棄を考えているのであれば、可能な限り親が生きているうちに医療保険や生命保険の契約状況を確認しておきましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

監修:高橋庸夫
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