更新日: 2021.12.09 その他相続

子のいない夫婦は配偶者にすべての財産をのこせる?

子のいない夫婦は配偶者にすべての財産をのこせる?
相続が発生した際、配偶者が相続人となることは知っている方もいらっしゃるでしょう。では、もし夫婦に子どもがいなかった場合、配偶者がすべての財産を相続することになるのでしょうか。
 
現在の法律では、法定相続人の範囲そして順位について明確に決められていることから、相続が開始した時の状況によってどこまでの親族が法定相続人となるのかについて、きちんと知っておくことが大切です。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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法定相続人の範囲

冒頭でも述べたとおり、相続が発生した際、亡くなった方の配偶者は相続人となります。配偶者以外の方は、相続の順位が決められており、その順位に基づいて法定相続人となるかどうかが決まります。
 
ちなみに、順位は第1順位から第3順位まで決められており、第1順位に該当する人がいない場合は、その次の第2順位の方に相続人としての権利が移ります。
 

■法定相続人となる順位

第1順位から第3順位にあてはまる人は図表1のとおりです。
 
【図表1】

注1:該当する子どもがすでに亡くなっている場合は、その子ども(亡くなった人から見た孫)に相続人としての権利が移ります。もしもその子ども(孫)が亡くなっている場合は、その子ども(亡くなった人から見たひ孫)となります。
 
注2:父母と祖父母が両方ともに生きている場合は、父母が優先されます。
 
注3:第1順位そして第2順位の人が誰もいない場合は、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人としての権利を得ます。もしも、兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子ども(亡くなった人から見たおいもしくはめい)に移ります。ただし、その子ども(おいもしくはめい)が亡くなっている場合は、そこで相続人としての権利はストップします。
 
ちなみに、相続が開始したことを知り、相続を放棄した人は、はじめから法定相続人でなかったものとみなします。また、内縁関係の方については、法定相続人とはなりません。
 

■順位における法定相続分

さらに、順位によって法定相続分も図表2のように異なります。
 
【図表2】


 
第1順位から第3順位にあたる人が複数存在する場合は、その複数人で法定相続分を分ける形になります(例:配偶者と子ども2人の場合・・・配偶者2分の1、子ども2人が4分の1ずつ)。
 

配偶者も子どももいない場合の相続順位はどうなる?

配偶者も子どももいない独身の方が亡くなった場合、相続順位は以下のとおりです。

第1順位:父母または祖父母
第2順位:兄弟姉妹

つまり、亡くなった方に両親そして兄弟がいたとしても、全財産を両親が相続することとなり、両親や祖父母が亡くなっている場合には兄弟姉妹が全財産を相続することとなります。
 

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相続財産は必ずしも法定相続分で分ける必要はない

相続が開始した後は、法定相続人で遺産分割協議を行います。そして、最終的にはその遺産分割協議で決定した内容に基づいて遺産分割が行われます。したがって、遺産分割協議書には、法定相続人全員の合意である旨が分かるように全員の押印が必要です。
 
ただし、遺産分割がまとまらずに協議が長引くケースもあります。その際にはいったん法定相続分で分割したものとして取り扱い、必要に応じて相続税を納める必要があります。
 
相続税の納付は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と決まっています。遺産分割協議がそれまでにまとまらなかった場合は、法定相続分で遺産分割を行ったものとして申告する必要があります。
 

まとめ

民法上、配偶者は常に相続人となりますが、子どもがいないからといって全財産を相続できるわけではありません。定められた順位に従って、配偶者以外の方にも法定相続分は発生します。また、配偶者も子どももおらず、両親や兄弟姉妹もいない場合は、その亡くなった人の財産は国庫に帰属することとなっています。
 
ただし、すぐに国庫に帰属するわけではなく、家庭裁判所による調査などを経て、債権者の有無や遺贈の有無などを確認し、残った財産が最終的に国庫に帰属することとなっていますので、覚えておくとよいでしょう。
 
出典
(※1)国税庁「相続人の範囲と法定相続分」
(※2)民法第889条
(※3)国税庁「相続財産が分割されていないときの申告」
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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