更新日: 2021.12.09 贈与

令和5年3月に終了予定の「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」。どんなメリットがあるの?

執筆者 : 柘植輝

令和5年3月に終了予定の「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」。どんなメリットがあるの?
令和5年3月31日までの期間限定で利用できる「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」(以下「結婚・子育て資金の一括贈与の特例」)ですが、どんなメリットがあるのでしょうか。
 
これから子や孫に結婚資金や子育て資金の贈与を行う予定のある方に知っておいてほしい、本特例のメリットについて紹介します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは

結婚・子育て資金の一括贈与の特例とは、20歳以上50歳未満の子や孫へ金融機関との契約に基づき、父母や祖父母など直系尊属から結婚・子育て資金に充てるための金銭などを贈与した際、最大1000万円(結婚に際して支払う費用は300万円が上限)まで贈与税が非課税となる制度です。
 
結婚・子育て資金とは、主に次のような支出になります。


・結婚式の費用
・結婚に当たって行う転居の費用、新居への入居費用
・不妊治療や妊婦健診の費用
・分べん費や産後ケアの費用
・子どもの医療費、幼稚園や保育所などの保育料

 

特例のメリット

結婚・子育て資金の一括贈与の特例の中で、特に注目したいメリットについて紹介します。
 

まとまった金額の贈与が非課税で可能

真っ先に伝えておきたいのが、まとまった金額の贈与を非課税で行えるという点です。
 
贈与税は、贈与を受けた側(受贈者)において毎年110万円までは基礎控除の範囲内として非課税とされているのですが(いわゆる暦年贈与)、結婚・子育て資金の一括贈与の特例を利用すると、それを大きく上回る1000万円まで非課税となります。
 
さらに、この特例は暦年贈与との併用が可能であるため、使い方によっては1年間で最大1110万円もの贈与を非課税で行うことができます。
 

贈与者の死後も非課税が続く

通常、贈与は生前にしか行えず、亡くったときに残った財産は相続税の課税対象となるため、相続財産の価格と相続人の数によっては相続税が発生することもあります。
 
しかし、結婚・子育て資金の一括贈与の特例を使っておけば、すでに消費した贈与分については相続税の課税対象とはなりません。
 
暦年贈与を含む通常の贈与の場合、贈与者が亡くなる前3年以内に行われた贈与については、贈与分が消費されていても相続財産と見なして相続税の課税対象となりますが、本特例はその対象から外れるため相続税も節税することが可能です。
 

2割加算の対象外となる

結婚・子育て資金の一括贈与の特例では、贈与者の死後、すでに消費した贈与分は非課税となる反面、まだ使われていない部分については遺贈(遺言によって財産を贈与するもの)があったものとして相続税が発生します。
 
祖父母から孫への遺贈であれば通常の相続税に加えて、相続税の2割相当額が加算されるのですが(いわゆる相続税の2割加算)、結婚・子育て資金の一括贈与の特例で贈与された部分に関しては、それが非課税となります。
 

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まとめ

令和5年3月31日で終了予定となっている結婚・子育て資金の一括贈与の特例ですが、大きな非課税枠や贈与税・相続税の優遇制度があるため、適用によって多くのメリットを得ることができます。
 
しかし、制度の内容をよく知らないまま利用しても、思ったような成果を得られない可能性もあるので、興味を持っているのであれば今回紹介した内容をはじめ、詳細についてよく調べてから検討するようにしてください。
 
出典
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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