更新日: 2021.12.13 贈与
祖父から孫への生前贈与。節税になるおすすめの方法とは?
同じ金額を贈与しても、節税対策の有無によって孫の手元に残る財産の金額は異なります。孫への生前贈与において節税となるお勧めの方法をご紹介します。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
暦年贈与
節税を絡めた生前贈与で、まず検討したいのは暦年贈与です。
暦年贈与は受贈者(贈与を受けた方)1人当たり、年間110万円以内の贈与であれば贈与税が発生しないため、孫への年間の贈与を非課税の範囲で複数年に分けて行い、相続財産を減らすことで将来の相続税を節税できます。
暦年贈与に事前・事後の手続きは必要なく、祖父母(贈与者)や孫(受贈者)の年齢制限や、贈与された財産の利用用途に関する制限もありません。
また、贈与の回数にも制限がないため、時間をかけることさえ許容できるのであれば、最も節税効果の高い生前贈与の方法になります。
ただし、暦年贈与は制度の変更や廃止の可能性についても議論されています。また、暦年贈与ではなく一括の贈与と見なされた場合は高額の贈与税が発生するリスクもあるため、税制の動向をチェックし、慎重に行う必要もあります。
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税とは、平成25年4月1日から令和5年3月31日までの期間で、30歳未満の方が教育資金に利用する金銭などについて祖父母など直系尊属から一括で受け取った場合、その贈与額が最大1500万円まで贈与税が非課税となる制度です。
対象となる教育資金には学校の学費だけでなく、教養や技能の習得のための習い事など、一定の条件の下で教育に関する費用が広く含まれます。
ただし暦年贈与とは異なり、金融機関と契約し、専用の教育資金口座を開設しなければならないなど、手続きにはやや手間がかかります。
また、贈与を受けた人が30歳に到達するなど金融機関との契約が終了した際、教育資金として使われなかった贈与分が口座にあれば、その残額は契約が終了した時点で贈与があったものとして見なされ、贈与税が課されるため注意が必要です。
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直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度
平成27年4月1日から令和5年3月31日までの期間、20歳以上50歳未満の子や孫に対して結婚や子育てにかかる資金を贈与した際に、最大1000万円までは贈与税が非課税となるのが直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度です。
挙式費用や結婚に伴う新居への転居費、妊娠出産、子どもの医療費や幼稚園・保育園の保育料などが広く対象となるものの、結婚指輪や新婚旅行の費用などは含まれないことにご注意ください。
また、こちらも教育資金に関する一括贈与の非課税制度と同様に、金融機関で契約などの手続きが必要となるほか、契約終了時点で資金口座に残高がある場合は贈与税の課税対象となります。
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税制度は、20歳以上の方が居住のための住宅の取得費用について父母や祖父母など直系尊属から贈与を受けた際に、一定の条件の下で最大3000万円まで贈与税が非課税となる制度です。
実際に非課税となる限度額は、購入する住宅の契約日や種類などによって異なります。
孫が近いうちに住宅を購入する予定がある場合、ぜひ利用を検討したい制度ですが、住宅について契約を令和3年12月31日までに締結すること、贈与を受けた年の翌年3月15日までに取得した家屋に居住すること、またはその日以後に遅滞なく居住することが確実に見込まれる必要があります。
万が一、贈与があった年の翌年12月31日までに居住していない場合は、特例の対象外となってしまうので注意してください。
孫への生前贈与の際は節税対策も一緒に
孫へ生前贈与をする際、同じ金額でも、諸制度を用いることで節税しながら贈与を行うことができます。しかし節税対策となる制度には、いずれも一定のルールがあるため、知らないまま贈与しても特例が適用されず、節税効果が得られないこともあります。
生前贈与について節税しながら行うのであれば、諸制度の適用条件などポイントを押さえておくようにしてください。
出典
国税庁 No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
国税庁 No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
執筆者:柘植輝
行政書士