更新日: 2022.03.10 相続

エンディングノートと遺言書はどう違うの?

執筆者 : 村川賢

エンディングノートと遺言書はどう違うの?
「父は既に他界し、高齢の母と同居しているが、兄弟も多いので相続が心配。でも母にいきなり遺言書を書いてほしいとは言い出しにくい。何かいい方法はないだろうか。」といった相談はよくあります。
 
そのような場合には、まずエンディングノートを書いてもらい、その後にタイミングを見計らって遺言書の話をすると受け入れてもらいやすくなると思います。
 
村川賢

執筆者:村川賢(むらかわ まさる)

一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)

早稲田大学大学院を卒業して精密機器メーカーに勤務。50歳を過ぎて勤務先のセカンドライフ研修を受講。これをきっかけにお金の知識が身についてない自分に気付き、在職中にファイナンシャルプランナーの資格を取得。30年間勤務した会社を早期退職してFPとして独立。「お金の知識が重要であることを多くの人に伝え、お金で損をしない少しでも得する知識を広めよう」という使命感から、実務家のファイナンシャルプランナーとして活動中。現在は年間数十件を越す大手企業の労働組合員向けセミナー、およびライフプランを中心とした個別相談で多くのクライアントに貢献している。

エンディングノートと遺言書の違い

エンディングノートと遺言書の一番大きな違いは、エンディングノートには法的効力はありませんが、遺言書には法的効力があることです。ただし、遺言書が法的に有効であるためには、決まったルールで書かなければならず、費用もかかります。
 
その点、エンディングノートは気楽に自由に書け、費用もほとんどかかりません。まずは書くのにハードルの低いエンディングノートを親御さんに書いてもらうか、いっしょに書いて相続について関心を持ってもらいましょう。
 

エンディングノートとは

エンディングノートとは、いざというときに備えて、自分のことや家族への思いなどを書きとめておくノートです。書店や文房具店、ネット通販などで多くの種類が販売されていますし、葬儀・相続などの本や雑誌についている付録などでも良いと思います。エンディングノートには、大まかに次のような項目があります。

(1)自分について(経歴、趣味、好きな食べ物、友達、活動グループなど)
(2)財産(預貯金や有価証券、不動産、生命保険証書など)と遺産相続について
(3)デジタル資産(パソコンやスマホのパスワードなど)
(4)家族や親族、親しい友人への想い
(5)末期の医療や介護についてどうしてほしいか
(6)お葬式の仕方の希望や出席者してほしい人の連絡先など

エンディングノートを記入する際には、書く項目の順番を気にする必要はありません。また全ての項目を埋める必要もありません。気軽に書けるところから書いて、少しずつ書き進めていくのがコツです。
 

遺言書とは

遺言書には、おもに本文を自筆で作成する「自筆証書遺言書」と遺言者の口述を聞いて公証人が作成する「公正証書遺言書」があります。自筆証書遺言書は自分で作成するため費用はほとんどかかりませんが、公正証書遺言は作成するのに費用がかかります(財産額や相続人の数などにもよるが、一般的には5万円~10万円前後)。それぞれについて、簡単に作成方法などを説明します。
 

自筆証書遺言書を作成するには

自筆証書遺言書は、便せんなどの用紙に容易に消えないインクで、本文をすべて自筆で書く必要があります。財産目録については、ワープロ作成や証書のコピーなどでも良くなりました。本文には、日付(吉日などと書くのは無効)と署名、押印が必要です。印鑑の種類は必ずしも実印でなくて大丈夫です。
 
2020年7月より法務局での「自筆証書遺言書保管制度」が始まりました。法務局に自筆証書遺言書を預かってもらうことで(保管費用は3900円)、保管上の心配がなくなり、開封時の家庭裁判所による検認も必要なくなりました。法務局のホームページ(※)には、自筆証書遺言書の書き方や保管申請の仕方などが詳しく書かれているので参照してください。
 

確実に遺言するには、公正証書遺言書を作成しましょう

公正証書遺言書は、証人2人のもとで、弁護士などの公証人が遺言者の口述から作成するため、間違いが少ないというメリットがあります。原本は公証役場に保管されます。確実に遺言をしたい場合は、公正証書遺言書を作成することをお勧めします。
 
公正証書遺言書は通常公証役場で作成しますが、遺言者が公証役場まで行けないなどの理由がある場合は、公証人が遺言者のいる病院や自宅まで訪問して作成することもできます。ただし、この場合は公証人へ出張手当と交通費の実費を追加で払う必要があります。
 

終わりに

今回の記事では、エンディングノートと遺言書の違い、それぞれの作成方法などについてまとめました。この記事を参考に、あなたやあなたの親御さんの「終活」について考えてみてはいかがでしょうか。
 
(出典)
(※)法務省 自筆証書遺言書保管制度
 
執筆者:村川賢
一級ファイナンシャル・プラニング技能士、CFP、相続診断士、証券外務員(2種)

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