更新日: 2022.05.25 その他相続

【相続】「農地」は相続すべき? 活用すれば「収入」になるの?

執筆者 : 八木友之

【相続】「農地」は相続すべき? 活用すれば「収入」になるの?
相続が発生する場合に、相続するべきか悩むのが農地です。相続する方が農家であれば問題ないのですが、農家ではない人が相続した場合には、農地を活用する方法がほとんどありません。
 
なぜ、農地は活用しづらいのか、もし活用するならどのような方法があるのかを解説します。
八木友之

執筆者:八木友之(やぎ ともゆき)

宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

農地が活用しづらい理由

農地が活用しづらいのは、農地を住宅地にするなど他の用途に変更しようとしたときには、農業委員会の許可を受けなければいけないためです。
 
街として発展している地区(第3種農地)や街が発展していく可能性がある地区(第2種農地)の場合は、原則、用途の変更が認められます。農地の用途変更が原則として認められない地域は、第1種農地、甲種農地、農用地区域内農地と呼ばれる地区です。
 
日本国内では、用途変更の許可が下りやすい農地区分は、全体の農地の10%未満といわれています。つまり、相続した農地は転用ができない可能性が高いということです。
 

なぜ転用が認められないのか

転用が認められない大きな原因は、農地の転用については原則不許可とし、例外許可だけ認めるという方針があることです。
 
例外許可で農地の転用が認められる主な内容は以下のとおりです。

・農業用施設、農産物加工・販売施設の建設
・土地収用事業の認定を受けた施設の建設
・集落接続の住宅等(500平方メートル以内)(甲種農地・第1種農地以外の土地に立地困難な場合に限る)
・地域の農業の振興に関する地方公共団体の計画に基づく施設の建設

などが該当します。例外許可が認められても、結局は農業に関係する事業にしか転用できません。
 

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農地を活用する方法

農地を活用する方法は、第3種または第2種農地なのか、それ以外の農地なのかにより変わります。所有されている農地がどの農地区分に該当するかについては、各自治体の農政課や農業委員会で確認してください。
 

第3種農地、第2種農地の場合

市街地の中、市街地に近い場合は農地の活用に対して転用の許可が下りやすいため、以下のような活用方法が考えられます。

・アパートやマンションを建築し貸し出す
・駐車場として貸し出す
・太陽光発電設備を建設し売電収入を得る
・高齢者向け施設を建設し、高齢者介護事業者などに貸し出す
・資材置き場として貸し出す

第3種農地や第2種農地の場合は、活用方法が多く存在します。しかし、農業委員会の許可が必ず下りるわけではないので、農業委員会や農地転用の専門家である行政書士に相談し、転用ができるかどうか確認しておきましょう。
 

第3種農地または第2種農地以外の場合

第3種または第2種農地以外の場合は、農地以外に転用することが原則できませんので、主な活用方法は農業関係になります。

・市民農園として貸し出す
・農地バンクに貸し出す
・近隣の農家に貸し出す

 

まとめ

農地の活用については、相続する農地の区分によります。相続される農地の区分を確認した上で、活用方法を考えましょう。また、活用が難しい農地の場合は、相続放棄という選択肢もあります。
 
ただし、相続放棄する場合は、相続放棄する期限が決まっていること、相続放棄すると農地以外の資産まで放棄しなければいけなくなること、などの制限があります。農地の相続、農地の活用はよく検討した上で、どのようにしていくのかご判断ください。
 

出典

農林水産省 農業振興地域制度、農地転用許可制度等について
 
執筆者:八木友之
宅地建物取引士、行政書士、不動産コンサルティングマスター

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