更新日: 2022.05.26 遺言書
介護士やケアマネジャーなどお世話になった人にも遺産を分けたい。遺言書を作成するとき家族の同意は必要?
中には、遺言書を書きたいものの、その効力や書き方が分からないという人もいるかもしれません。
この記事では、相続や遺言書についての法的根拠や仕組み、タイトルのような、お世話になった人にも遺産を分けたいといった事例を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも他人に遺産を譲れる?
通常、相続人となり得る人は、死亡した被相続人の子や配偶者、親族などです。しかし、遺言書があれば、介護士やケアマネジャーなどの他人にも遺産を譲ることができます。
この行為は遺贈といい、相手が人であれば誰に対してでも行えます。そのため、ペットなどには遺贈できない一方、法的な人である法人に対しての遺贈は可能です。
今回のケースであれば、お世話になった介護士やケアマネジャーが所属する老人ホームなどに遺贈することもできます。
他人に遺産を譲る場合の注意
遺贈は通常の相続人ではない他人に遺産を譲る以上、注意しなければならない点が2つあります。
1つは、相続人の最低限の遺産の取り分である遺留分制度です。
相続人は被相続人との続柄によって、相続できる順番や取り分、そして遺留分が決まっています。例えば、被相続人の子は第一順位で相続分は2分の1、遺留分は本来相続できた財産の2分の1です。
遺贈によって相続した財産が遺留分未満となった相続人には、遺留分侵害額請求権という権利があるため、これを行使すれば遺留分の遺産を受け取ることができます。相続人の人数などに気をつけて、遺留分を侵害しない遺贈の方法を考えておきましょう。
もう1つは、遺贈される人が遺贈を望まない場合です。
今回のケースでは、介護士やケアマネジャー自身が遺贈を望まなかったり、会社規定で受け取ることができなかったり、といった可能性が考えられます。遺産が不動産などの場合、どうしてよいか分からない可能性もあるでしょう。
そのような場合、遺贈は放棄することもできるため、良かれと思って遺贈したものが裏目に出るかもしれません。遺贈を考える場合は、相手の意思を確認しておきましょう。
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遺言とは
遺言とは、被相続人の財産の相続方法を、被相続人自身の意思として伝え、死後に実現させるための制度です。
法律で定められている原則としての相続規定と遺言の内容が違う場合は、遺言の内容が優先されます。遺言の内容を文書化し、誰が見ても有効であると認識できるようにしたものが遺言書です。
有効な遺言書の書き方には、署名および捺印などのポイントがありますが、家族の同意は不要です。しかし、トラブルや遺言書の様式不備による遺言の無効化を防ぐためにも、なるべく家族や法律家と認識を合わせておく方がよいでしょう。
家族の同意なしでも他人に遺産を分けられるが、家族との認識合わせは必要
他人に遺産を譲ることは遺贈といい、相手が人であれば誰に対してでも行えます。
遺産の分け方は遺言の内容が優先され、家族の同意がなくても有効な遺言書を作れます。そのため、家族の同意なしで、お世話になった介護士やケアマネジャーなどに遺贈する内容の遺言書を作成することも可能です。
とはいえ、遺言書の書き方やトラブルにならない遺贈の方法にはコツがあるため、なるべく家族や法律家と認識を合わせながら遺言書を作成した方がよいでしょう。
出典
国税庁 民法の相続制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部