“相続”が発生したらすぐ手続きを! 期限はいつまで? 過ぎたらどうなる?

配信日: 2022.06.08

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“相続”が発生したらすぐ手続きを! 期限はいつまで? 過ぎたらどうなる?
もしも家族が亡くなったら、悲しみに暮れる間もないほど次々に各種手続きが必要になります。相続の手続きもその1つです。
 
相続の手続きには、明確な期限が定められているものがいくつもあります。いつまでに何をする必要があるのか、おおまかな流れを確認しておきましょう。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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相続手続きの流れと期限

人が亡くなると、相続が発生します。相続に関する各種手続きは、期限が以下のように定められています。
 

■3ヶ月以内:相続放棄の申し出

相続には、財産も借金もすべて受け継ぐ「単純承認」、財産も借金もどちらも受け継がない「相続放棄」、財産の範囲内で借金も受け継ぐ「限定承認」の3種類があります。
 
相続人は、おのおのがどの方法で相続をするか否かを選べますが、相続放棄か限定承認を選ぶ場合は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき(基本的には亡くなった日)」から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申し出る必要があります。
 

■4ヶ月以内:準確定申告

亡くなった人の代わりに確定申告を行うことを「準確定申告」といいます。亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得や税額を計算して、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に税務署に申告します。
 
ただし、亡くなった人が確定申告を必要としない人だった場合は、この手続きは不要です。
 

■10ヶ月以内:相続税の申告と納付

相続税が発生する場合は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に、申告と納付を済ませましょう。まだ遺産分割の協議が終わっていない状態でも、ひとまず法定相続分で相続したと仮定して手続きします。
 
もしも仮に遺産分割協議が終わっていない場合には、「申告期限後3年以内の分割見込書」を相続税申告書に添付することによって、分割協議が済んだ後、さかのぼって特例の適用を受けることができます。
 
一方で、相続財産が基礎控除額「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」以下の場合など、相続税がかからないケースがあります。ただ、その場合でも相続税が「0円」であることを申告することが必要なケースもありますので注意してください。
 

■1年以内:遺留分侵害額の請求

遺留分とは、一定の相続人について、法律で最低限認められている相続時の取り分のことです。例えば遺言で「長男にすべての財産を相続させる」と書いてあったとしても、次男は自分の遺留分を請求できます。
 
この相続があることを知ったときから1年以内、知らなかった場合でも相続開始のときから10年以内に、家庭裁判所に申し立てる必要があります。
 

■2年以内:埋葬料・葬祭費の請求

亡くなった人が加入していた健康保険(公的医療保険)から受け取れるのが、埋葬料や葬祭費です。
 
どちらも葬儀を執り行った人に支給されるものですが、亡くなった人が協会けんぽ(全国健康保険協会)や健康組合などの健康保険に加入していた場合は「埋葬料(埋葬費)」、国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合は「葬祭費」となります。
 
時効を迎えると請求できなくなるので要注意です。亡くなってから2年以内に手続きを済ませるようにしましょう。
 

■3年以内:死亡保険金の請求

民間の保険会社で死亡保険などに加入していた場合は、保険金を請求できます。保険は「3年」で請求する権利が消滅する(時効を迎える)ため、なるべく早めに保険会社か保険代理店に連絡して、請求手続きを進めましょう。
 

■3年以内:遺産分割協議を完了させる

前述のように、相続税の申告・納税(10ヶ月以内)時点で遺産分割協議が終わっていなかった場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しているはずです。3年たってもまだ遺産分割協議が済んでいない場合、税金の軽減措置などが受けられなくなります。
 

■5年10ヶ月:相続税の還付請求

相続税を納めすぎていた場合は、税務署で手続きすれば、払い過ぎた税金が戻ってきます。税務署で「更正の請求手続き」をしましょう。相続の開始があったことを知った日の翌日から5年10ヶ月を超えると、できなくなってしまうので注意が必要です。
 

期限を過ぎてしまったらどうなる?

「手続きをすっかり忘れていた」「親族間の話し合いがもつれた」など、決められた期限を守れない人もいるでしょう。期限内に手続きを完了できなかった場合、次のような事態に陥る可能性があります。

・相続税の軽減措置が利用できなくなる
・延滞税を支払う必要が出てくる
・受け取れたはずのお金が受け取れなくなる

いずれも金銭的に大きなデメリットがあるため、できるだけ早く、漏れなく手続きを終えるようにしましょう。
 

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まとめ

相続の手続きには期限が定められているものが多数あります。「あと10ヶ月ある」と思っていても、お葬式やお墓の手配や保険金の請求などをしていると、あっという間に時間が過ぎていき、余裕がなくなってしまうかもしれません。
 
期限を過ぎてしまうと、余分に税金を負担することにもなります。相続人同士で連絡を取り合いながら、迅速に手続きを進めていきたいところです。
 

出典

裁判所 相続の放棄の申述
裁判所 遺留分侵害額の請求
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)
国税庁 相続税のあらまし
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4102 相続税がかかる場合
国税庁 第27条《相続税の申告書》関係
国税庁 [手続名]相続税の申告書の提出期限から3年以内に分割する旨の届出手続
国税庁 [手続名]相続税及び贈与税の更正の請求手続
富津市 国民健康保険に加入していた方が亡くなられたときの葬祭費支給
大阪市 後期高齢者医療に加入されている方が亡くなられたときは、葬祭を行った方に葬祭費が支給されます。
観光産業健康保険組合 被保険者本人の死亡―埋葬料(埋葬費)
全国健康保険協会 ご本人・ご家族が亡くなったときの給付金 埋葬料(費)・家族埋葬料編
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表

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