更新日: 2022.06.22 その他相続
相続手続きに役立つ! 「法定相続情報証明制度」をご存じですか?
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/
法定相続情報証明制度とは
平成29年(2017年)5月29日から、全国の登記所(法務局)において、各種相続手続きに利用することができる制度です。
登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し,併せて相続関係を一覧に表した「法定相続情報一覧図」を提出することで、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを、無料で交付してくれます。写しは無料なうえ、何枚でも交付を受けることができますので、費用面でも節約になります。
銀行などの金融機関で相続手続きを行う場合、戸除籍謄本等の書類を原本で提出する必要があります。複数の金融機関で同時に相続手続きをするとなると、手間も費用もかかってしまいます。
この写しを取得すれば、名義変更手続きや相続税の申告、年金手続きなどに利用でき、手間も費用も節約できるので便利です。
法定相続情報証明制度の具体的な手続き
この制度を利用できる方(申出人)は、被相続人の相続人です。税理士などに委任もできます。
ただし、被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど,戸除籍謄抄本を提出することができない場合は利用できません。
手続きにあたって必要な書類として、以下のものがあります。
(1)被相続人の戸籍謄本・除籍謄本
出生してから亡くなるまでの、連続した戸籍謄本および除籍謄本が必要です。被相続人の本籍地の市区町村役場で取得可能です。
(2)被相続人の住民票の除票
被相続人の最後の住所地の市区町村役場で取得可能です。
(3)相続人の戸籍謄抄本
相続人全員について、現在の戸籍謄本または抄本が必要になります。なお、証明日は相続人が死亡した日以後のものが必要です。各相続人の本籍地の市区町村役場で取得可能です。
(4)申出人の氏名・住所を確認できる公的書類
以下のいずれか1つの書類が必要です。
●運転免許証の表裏両面のコピー
●マイナンバーカードの表面のコピー
●住民票記載事項証明書(住民票の写し)
など
上記のほか、
(5)各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
(6)委任状など
(7)戸籍の附票
が必要となる場合もあります。
(出典:法務局 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出の手続に当たって、用意していただく必要のある書類 〜必ず用意する書類〜/〜必要となる場合がある書類〜(※1))
必要書類の収集が終わったら、被相続人、および戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図を作成します。
記載例は、法務局のホームページ「主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例(※2)」にあります。エクセルファイルがダウンロードできるので、法定相続情報一覧図作成に役立ちます。
法定相続情報一覧図の作成は、弁護士や司法書士などに依頼することも可能です。
最後に、申出書に必要事項を記入し、被相続人の戸籍謄本・除籍謄本等の必要書類と法定相続情報一覧図とともに、以下の登記所のいずれかに申し出をします(郵送も可)。
(1)被相続人の本籍地(死亡時の本籍を指します。)
(2)被相続人の最後の住所地
(3)申出人の住所地
(4)被相続人名義の不動産の所在地
申し出から法定相続情報一覧図の交付を受けるまで、おおよそ1週間程度かかりますので、余裕を持って手続きを進めるとよいでしょう。
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まとめ
被相続人が複数の金融機関に預金口座を有している場合や、相続人の数が多く、戸除籍謄本等の束が膨大になる場合などに、法定相続情報一覧図の写しを使えば、相続手続きにかかる時間を短縮できます。また、写しは無料なので、費用面からも助かります。
出典
(※1)法務局 法定相続情報一覧図の保管及び一覧図の写しの交付の申出の手続に当たって、用意していただく必要のある書類
(※2)法務局 主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。