更新日: 2022.10.09 遺言書
トラブルなく相続するために必須の遺言書について徹底紹介
遺言書は故人の最後のメッセージとして、かけがえのない存在です。相続人同士での遺産分割争いや、トラブルの長期化を防ぐためにも、この記事では遺言書作成の重要性について解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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遺言書を作成するメリット
遺言書は、被相続人が相続に関する自分の最後の意思を示すための書類です。ここでは遺言書を作成するメリットをご紹介します。
被相続人の意思に沿った相続内容を決めることができる
遺言書を作成すると、被相続人の意思に合わせた財産分配ができます。遺言書がない場合、相続人全員で財産の分割方法などについて遺産分割協議を行いますが、被相続人の意思に合わない分割内容になる可能性もあります。
・お世話になった特定の相続人に多く財産を遺したい
・特定の相続人に特定の財産を遺したい
などの強い思いがある場合は、遺言書を作成しておきましょう。
法定相続人以外にも財産を遺すことができる
法定相続人以外に財産を遺すことができるのも、遺言書作成のメリットです。
遺言書がない場合は、法定相続人が財産を相続することになりますが、遺言書を作成すれば、法定相続人以外にも財産を遺すことが可能です。例えば、身の回りの世話をしてくれた人や、法定相続人に該当しない事業の後継者にも、遺言書に記載することで財産を遺すことができます。
ただし、法定相続人には遺留分があるため、遺言書を作成する際は遺留分を侵害しないようにしましょう。
相続人同士のトラブルを未然に防げる
遺言書作成をきっかけに、財産の配分を考えることができるため、生前に家族に分割の意向を話しておくと、相続人同士でのトラブル減少につながります。
さらに、遺言書で意思を示すことで相続人も納得でき、トラブル発生を減少させる効果があるでしょう。
遺言書の種類
一般的な遺言書の種類としては、自筆証書遺言と、公正証書遺言、秘密証書遺言があげられます。ここでは多く使われている、自筆証書遺言、公正証書遺言の2つについてご紹介します。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、被相続人自身が、遺言の全文、日付、氏名を手書きの上、押印をする遺言書です。遺言書の本文については、パソコンでの作成や代筆は不可ですが、民法の改正により、平成31年(2019年)1月13日以降、財産目録はパソコンや代筆でも作成可能となりました。
自筆証書遺言には以下のようなメリット・デメリットがあります。
・紙とペン、印鑑があればいいので、作成に費用がかからない
・いつでも手軽に書き直せる
・遺言の内容を自分以外に秘密にしておける
・所定の要件を満たしていないと、遺言が無効になるおそれがある
・遺言書が紛失したり、忘れ去られたりするおそれがある
・本人が保管するため、遺族が見つけられないおそれがある
・遺言書の内容が改ざんされたり、捨てられたり、隠されたりする恐れがある
・被相続人の死亡後、家庭裁判所で検認の手続きが必要になる
公正証書遺言
公正証書遺言は、公正役場で証人2人以上が立ち会い、遺言の内容を公証人の筆記により作成してもらう遺言書です。遺言書の原本は公証役場で保管され、正本は本人が保管します。
公正証書遺言には以下のようなメリット・デメリットがあります。
・法律知識がなくても、公証人が遺言書を作成してくれるので、遺言書が無効になる可能性が低い
・勝手に内容を改ざんされたり、捨てられたり、隠されたりするおそれがない
・家庭裁判所での検認の手続きが不要
・証人が2人必要
・遺言書の作成費用は、目的の価額によって設定されるので費用がかかる
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自筆証書遺言の保管制度とは
自筆証書遺言のメリットとして、簡便な点を挙げましたが、不備があると無効になってしまったり、自宅で保管するため、遺言書が改ざん・偽造されたり、紛失したりする恐れや、遺族が遺言書の存在に気がつかないという問題点があります。
自筆証書遺言のメリットを損なわず、もろもろの問題点を解消するため、自筆証書遺言書の原本とその画像データを法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」が、令和2(2020)年7月10日からスタートしました。
自筆証書遺言を作成した人は、この制度を利用することで、遺言書作成後のトラブルを回避できます。自筆証書遺言書保管制度のメリットをご紹介します。
法務局で保管されるため紛失や盗難、偽造や改ざんを防げる
「遺言書保管所」である法務局で、遺言書の原本とその画像データが保管されます。法務局で保管するため、紛失や盗難のおそれや、偽造や改ざんのおそれもなく、被相続人の生前の意思が守られます。
形式面で無効な遺言書になりにくい
作成した遺言書が、民法が定める自筆証書遺言の形式に沿って書かれているかを法務局職員が確認するため、外形面のチェックが受けられます。ただし、あくまでも外形部分のチェックのため、有効性を保証するものではありません。
相続人に発見してもらいやすくなる
被相続人が死亡した場合、あらかじめ指定された方へ、遺言書が法務局に保管されている旨の通知が届きます。これにより、遺言書が発見されないことを防ぎ、遺言者の意思に沿った遺産相続を行うことができます。
検認手続が不要になる
自筆証書遺言は、被相続人の死亡後、家庭裁判所に遺言書を提出して検認を受けなければ、遺言書に基づく財産の処分ができません。
しかし、自筆証書遺言書保管制度の利用で検認が不要となり、すぐに遺言書の内容を実行できます。
まとめ
遺言書は、被相続人の意思を示すために大切なものですが、遺言書を残しておけば安心というわけではありません。
遺産相続において家族同士でもめごとが起きないよう、遺言書を作成するときは法律家などの専門家に相談するようにしましょう。
出典
政府広報オンライン 知っておきたい遺言書のこと 無効にならないための書き方、残し方
株式会社グッドオフ 遺言書に関する意識調査(2020年)(PR TIMES)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部