更新日: 2022.12.10 相続税
「お墓の事前購入」は相続税の節税につながる?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
お墓の事前購入が節税につながる理由は?
お墓の事前購入が節税につながる理由は、お墓が相続税のかからない財産に指定されているためです。その性質を利用し、相続の発生前に、現金や有価証券など相続税のかかる財産をお墓に換えておくことで、財産の総額は同じであっても相続税のかからない部分を広くすることができるのです。
例えば、相続人が2人、相続財産が4400万円ある場合で考えてみましょう。相続税は「3000万円+600万円×法定相続人の数」を超える部分にかかります。上記の場合、通常であれば、
4400万円-(3000万円+600万円×2)=200万円
となり、この200万円の部分に相続税が発生します。しかし、事前に200万円分の財産をお墓に換えておけば、相続税は発生しなくなります。近年、人生の最期に向けて身辺整理をする「終活」が話題になっています。その中で、お墓を生前に購入し、節税しつつ遺族がお墓を用意する手間や負担も減らす、という方法に注目が集まっています。
相続税対策としてお墓を購入する際の注意点は?
「取りあえず相続税対策になるらしいから」そう安易に考えてお墓を購入すると、かえって遺族の負担を増やすことにもなりかねません。相続税対策としてお墓を購入する場合は、次のような点に注意する必要があります。
あまりに高額なお墓は相続税の対象となる可能性がある
通常の墓石店などで買えるような、一般的な金額内のお墓であれば問題ありません。しかし、通常のお墓の価格を著しく逸脱し、お墓というよりひとつの価値ある財産レベルであるような価格の場合は注意してください。相続税逃れと判断され、相続税が課税される可能性があります。
代金の支払いは亡くなる前に行うこと
お墓を購入しても、代金の未払いがあれば、その分は相続人が債務として引き継ぐことになります。相続税の算出に当たって、通常であれば、亡くなった方の残した債務は課税対象となる相続財産から差し引くことができます。しかし、お墓の未払い代金は債務として控除されないものとされ、相続財産から差し引くことはできません。
そのため、生前にお墓を購入するのであれば、現金で一括払いをするなど、できる限り速やかに支払いを完了させるようにしてください。時折、購入さえしておけば未払い分も非課税として扱われると思い込んでいる方もいらっしゃるため、注意が必要です。
遺族の負担となる可能性もある
お墓を生前に購入しておくことが、必ずしもいい方向に作用するとは限りません。
事前購入は確かに相続税対策となりますし、残された遺族がお墓を用意する手間などもなくなります。しかし、お墓の場所が遠い場合など、遺族にとってはむしろ負担となることもあります。近年では、お墓の維持管理の負担を重く感じる方も少なくありません。
お墓を事前に購入する場合は、節税面だけではなく、実質的な遺族の負担も考えて行うようにしましょう。
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お墓の事前購入は節税につながるが、注意点を確認することが重要
お墓は相続税が課されない財産であるため、財産の一部をお墓に換えておくことで相続税を節税することができます。
しかし、購入代金のうち未払いとなっている部分は債務として差し引かれないことや、管理の手間など、よかれと思ってしたことがかえって遺族の負担となることもあり得ます。お墓を事前購入する場合は、節税目的で安易に行うのではなく、遺族の負担など注意点を確認し、十分検討した上で購入することをおすすめします。
出典
国税庁 第13条《債務控除》関係
執筆者:柘植輝
行政書士