更新日: 2022.12.15 その他相続

「相続手続き」は何から始めればいいの? 相続発生前に知っておきたい相続の流れと「争族」について解説

「相続手続き」は何から始めればいいの? 相続発生前に知っておきたい相続の流れと「争族」について解説
相続の手続きは、一生でそう何度も経験するものではないかもしれませんが、当事者となった場合は不安に感じることも多いでしょう。
 
家族や親族が亡くなった後はゆっくり悲しむ暇がないほど、相続についてさまざまな手続きが必要となります。また、俗にいう「争族」とならないための事前の対策も大切です。今回は、相続の手続きをスムーズに行うためのポイントを説明します。
廣重啓二郎

執筆者:廣重啓二郎(ひろしげ けいじろう)

佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。

現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。

相続手続きの流れ

(1)被相続人が死亡

被相続人とは故人のことで、「死亡診断書」や「死体検案書」に記載された被相続人の「死亡日」が相続開始日となります。役所へ死亡届を提出すると、被相続人の戸籍に「死亡日」が記載されます。
 

(2)相続人を調べる

相続人(法定相続人)は、民法で定められた被相続人が残した財産を相続できる人です。法定相続人を調べる場合、被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての「戸籍謄本」や「除籍謄本」、「改製原戸籍謄本」が必要になります。
 
生まれてから死亡までの戸籍が必要な理由は、結婚や転籍、法改正などで新しく戸籍が作られたときに、これまでの戸籍に記載があった方や、離婚や認知などの記載が消えてしまうためです。
 

(3)相続財産を調べる

相続財産は、現金や預貯金、有価証券、土地・建物などプラスの財産だけでなく、ローンの残高や借金などマイナスの財産も含まれます。それぞれの相続財産は調査方法が異なりますので、時間をかけて調べていく必要があります。
 
プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は、相続放棄を検討することもあるでしょう。相続放棄の手続きの期限は、相続の開始を知ってから3ヶ月となるため、期限を念頭に置いて財産の調査をすることが必要です。
 

(4)遺言書の有無と遺産分割協議

遺言書がある場合、遺言の内容が優先されますが、遺言書があっても法定相続人全員の合意がある場合は、遺産分割協議を行うことは可能です。 ただし、法定相続人以外の受遺者(じゅいしゃ:遺言によって財産を受け取る人)がいるケースでは受遺者の同意が必要です。
 

(5)遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書は、遺産分割協議で合意した内容を明らかにする書面です。法定相続人全員で話し合って決めた遺産分割方法と相続の割合について、詳細に記した書面に「法定相続人」全員の署名押印(実印)が必要で、印鑑証明書を添付します。
 
遺産分割協議書の提出先は、金融機関、証券会社、法務局、運輸局、税務署などです。遺産分割協議書は原則として原本の提出が必要ですが、金融機関の場合はコピーをとって返却してくれるケースも多いので、金融機関の数だけ作成する必要はありません。
 

争族にならないために

ここまで相続開始後の手続きについて解説してきましたが、相続をスムーズに進めるためには、相続発生前に準備を怠らないことも重要です。以下に該当する場合は「争族」になる可能性が高いことが想定されるため、チェックしてみましょう。
 

●自宅以外にこれといった財産がない

財産のほとんどが自宅という場合、相続人の間での争いが深刻になるケースもあります。現金であれば相続人同士で分けることができますが、不動産の分け方については複数人で共同所有(共有)する方法もあります。
 
ただし共有の場合、売却する場合などは共有者全員の同意が必要で、権利関係が煩雑になります。
 

●特定の相続人だけが被相続人(故人)の介護をしていた

特定の相続人が被相続人を介護していたなど、相続人の負担が公平でない場合も争族になりやすいと考えられます。介護や看病など被相続人への貢献は、金額に換算した上で「寄与分」として相続分の上乗せが認められています。
 
ただし、「寄与分」が認められると、他の相続人の相続分が減ることになってしまうため、争いが起こりやすくなります。
 

●夫婦の間に子どもがいない

子どものいない夫婦のどちらかが死亡した場合は、配偶者に加えて両親も相続人になります。すでに両親が死亡していて、かつ両親より上の世代の親族もいない場合では、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
 
被相続人の配偶者は、義理の両親や兄弟姉妹と遺産相続について話し合う必要があります。日頃から親しくしていれば話し合いもしやすいと思いますが、疎遠になっている場合は話し合い自体が難しくなることや、遺産の分割など話がまとまらないことも考えられます。
 
なお、相続人同士での話し合いについては、被相続人に養子がいる場合や、離婚した元の妻(夫)との間に子どもがいる場合も同様です。
 

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まとめ

相続についての手続きは、相続放棄や相続税の申告など、それぞれの期限内に行うことが原則として求められます。
 
特に相続の話し合いが長引いた場合は、期限内に手続きが終わらない可能性があるので、相続発生前に財産や手続きの流れを確認しておくほか、「争族」にならないための対策として、当事者間で事前に最良の選択について話し合っておくことが必要です。
 
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー

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