親に勘当されている50代男性。親が亡くなった場合、相続権はある?
配信日: 2022.12.20
そこで、親から勘当されている子に相続権はあるのかどうかについて説明します。また、親が特定の子に相続させたくない場合に取り得る方法についても説明してきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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勘当されても相続権はある
親が子を勘当するといっても、それは顔を合わせたり連絡を取り合ったりすることがなくなるという事実上のことを指しているのであって、法律上の親子関係がなくなるわけではありません。
日本の法律には、親子関係を解消する制度はないため、親が子を勘当しても法律上の親子関係は継続していくのです。そして、法律上の親子関係がある以上、子には親の財産を相続する権利があります。
遺言でも遺留分は奪えない
勘当した子どもに財産を相続させたくないと考えた親が、公的に認められる公正証書遺言などで他の子どもに財産の全部を相続させるという内容の遺言を残した場合はどうでしょうか。親子関係を絶ち、老後の面倒も一切見なかった勘当した子どもよりも、そばにいた親しい子どもに財産の全てを相続させたいと考えるのは無理もないことかもしれません。
しかし、勘当しても法律上の親子関係は解消できないので、その子どもにも法律上定められた最低限の相続分があります。これは遺留分といって、遺言によっても奪えない最低限の相続分です。例えば、相続人が子ども2人のみであるような場合、全相続財産の4分の1は子ども1人の遺留分となります(民法第1042条)。
勘当された子どもが自分の遺留分を侵害するような相続が行われていることを知った場合には、遺留分侵害額請求をすることで自分の遺留分を請求することができます。ただし、この請求は自分の権利が侵害されていると知った日から1年以内または相続開始から10年以内に家庭裁判所に申し立てをすることが必要です(民法第1048条)。
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相続廃除も簡単ではない
ここまで見てきたように、遺言によっても勘当した子どもの相続権を奪うことはできません。しかし、民法には「相続廃除」という制度があり、この制度の適用が認められれば、勘当した子どもから相続権を奪うことが可能です(民法第892条)。
相続廃除は、被相続人である親本人が家庭裁判所に申し立てたり、遺言によって排除したりすることで可能になります。廃除が認められるには要件があり「被相続人に対して虐待をしたとき」「被相続人に重大な侮辱を加えたとき」「その他の著しい非行があったとき」のいずれかに該当すると家庭裁判所が認定することが必要です。
これらが認められるのはかなり重大な事があったときのみですので、簡単に廃除になることはないと考えられます。
勘当されていても相続権はある
勘当されていても法律上の親子関係がなくなるわけではありません。したがって、親が亡くなった際に一定の財産を相続する権利はあります。子どもが持っている相続財産に対する遺留分は、親の遺言によっても奪うことはできません。勘当になる原因が、相続廃除の要件を満たすようなひどい事案であり、親が家庭裁判所に廃除の申し立てをしている場合を除き、子どもである以上相続権はあるのです。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
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