更新日: 2023.02.04 相続税

相続税精算課税制度ってどんな制度?非課税枠が2500万円でお得に生前贈与できるって本当?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

相続税精算課税制度ってどんな制度?非課税枠が2500万円でお得に生前贈与できるって本当?
相続税精算課税制度に対し、「相続税は節税できる?」「より多くの財産が相続できるの?」といった疑問をもつ人もいるでしょう。直接的な節税効果はないものの、場合によってはより多くの財産を相続できる制度といえます。
 
本記事では、相続税精算課税制度の内容を解説するとともに、より多くの財産を相続できるケースを紹介します。またメリットデメリットについても触れていくため、ぜひ参考にしてください。
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相続税精算課税制度とは

「相続税精算課税制度」とは、原則60歳以上の祖父母または父母から18歳以上(贈与の時期によっては20歳以上)の子や孫へ財産を贈与する際に選択でき、贈与額が累計2500万円までであれば、贈与税が非課税となる制度です。
 
相続税精算課税制度を選択した場合、「暦年贈与」との併用はできません。暦年贈与では、1年間に贈与された額の合計から基礎控除の110万円を差し引いた残額に税率を乗じて贈与税を計算します。1年間の贈与額が110万円以下であれば贈与税がかからず、申告も必要ない制度です。
 

相続税精算課税制度のメリット

相続税精算課税制度は、暦年贈与よりも多くの財産を非課税で贈与できる仕組みです。非課税額以外にも多くのメリットがあり、「早い時期に多額の資産を子や孫に譲りたいと考えている」「相続者の死後に遺産相続でもめそうだから生前に話し合っておきたい」といった人に向く制度だといえます。
 
本項目では、具体的なメリットについて3つ解説します。
 

相続税精算課税制度は多くの財産を相続できる

相続税精算課税制度は非課税枠が2500万円あるものの、贈与者が亡くなった際は相続税の課税対象になります。税金の支払いが贈与時ではなく相続時になるだけで、節税効果はありません。
 
しかし、今後成長する会社・時価があがる土地などを所有する場合は、節税効果が期待できます。相続税精算課税制度では、贈与時の時価で相続税が確定します。将来的には上昇する見込みがあっても、現状では資産価値が低い会社や土地を贈与すれば結果的に節税となります。
 

2500万円を超えた分の税率は一律20%

暦年贈与は、2500万円以上の贈与に対して税率が45〜50%(累進課税)かかります。相続税精算課税制度を活用すると、贈与額の合計が2500万円を超えた分は一律で20%の課税です。高額の資産を贈与したい場合は、相続税精算課税制度のほうが贈与税の負担は少なくなります。
 

贈与者の生前に話し合いができる

贈与者が亡くなった際に、相続争いが起きることも考えられます。しかし贈与者の生前に話し合えれば、誰に何を贈与するかを決められるでしょう。
 

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相続税精算課税制度のデメリット

より多くの財産を相続できる可能性があるなど多くのメリットがあるものの、デメリットもあります。面倒な申告の手続きや、今後利用したいと考えている特例が適用されないケースもあるため、利用の際はデメリットを鑑みて利用の検討をしなくてはなりません。
 
本項目で主なデメリット3つについて解説するので、参考にしましょう。
 

申告が必要

相続税精算課税制度は金額に関係なく「相続時精算課税選択届出書」を税務署に提出する必要があります。暦年贈与であれば、基礎控除額110万円以内は申告の必要がありません。
 

暦年贈与が使えなくなる

相続税精算課税制度を一度選択すると、同じ贈与者から受ける贈与において暦年贈与に戻れません。これにより、暦年贈与の非課税枠110万円が使用できなくなります。
 

小規模宅地等の特例は適用されない

土地の贈与で相続時精算課税制度を利用した場合は、その土地において小規模宅地等の特例が使用できなくなります。小規模宅地等の特例は、相続の際に一定の面積の宅地であれば税金が減額される制度です。
 
しかし、相続税精算課税制度は相続ではなく贈与による取得となるため、小規模宅地等の特例の利用条件に当てはまりません。
 

メリットデメリットを比較して制度を利用しよう

相続税精算課税制度は、特に今後価格が上昇する会社や不動産を相続する予定の人に向いている制度です。しかし、相続税精算課税制度にはメリットのみならずデメリットもあります。
 
自分にとって、相続税精算課税制度を利用したほうがより多くのメリットがあると感じたら、活用の検討をしてみましょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4103 相続時精算課税の選択
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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