成年後見制度とはどんな制度? かかる費用はいくらぐらい?

配信日: 2023.04.23 更新日: 2023.04.24

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成年後見制度とはどんな制度? かかる費用はいくらぐらい?
日本は、超高齢化社会に突入しています。高齢化に伴い、認知症にかかる人の数も並行して増えています。
 
認知機能が衰えると悪意を持った人たちにねらわれ、脅迫や詐欺被害にあってしまい、財産を失ってしまうリスクが生じます。成年後見制度は、このような判断能力が弱った人を守るための制度です。成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
篠原まなみ

執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

高齢化と認知症

日本は、総人口に占める65歳以上の高齢者(以下「高齢者」といいます)の割合が世界一で、2022年9月15日現在推計で29.1%です。高齢者の割合は、1950年(4.9%)以降、一貫して上昇し続けていて、1985年に10%になり、2005年に20%を超えました。
 
国立社会保障・人口問題研究所の推計を見ると、今後も上昇を続けて、第2次ベビーブーマー期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上になる2040年に、その割合は35.3%になると見込まれています(※1)。
 
日本の高齢者の認知症の人の数は、約600万人(2020年現在)と推定されていて、2025年には約700万人の人(高齢者の5人に1人)が、認知症になると予想されています(※2)。
 

成年後見制度とは

認知症で判断力が低下した人の財産管理(不動産や預貯金の管理・遺産分割協議等相続手続き等)や、身上監護(介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結等)を支援する制度として「成年後見制度」があります。
 
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があり、図表1のような特徴があります。
 
【図表1】


 

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法定後見制度にかかる費用

申し立ての際には、手数料のほかに医師による鑑定費用や戸籍謄本を取得するために必要な費用などが発生するので、総額で6~10万円の費用がかかります。
 
【図表2】


 
後見人への報酬は、家庭裁判所が仕事内容や被後見人(認知症などにより後見される人)の資産額を鑑みて毎年決めることになっており、管理する資産額が多いほど報酬額も多くなります。
 
弁護士等の専門職後見人の場合は、月額2~6万円程度が一般的な水準ですが、後見人等が親族の場合は、専門職後見人より低額であるケースが多く、場合によっては支払われないこともあります。
 

任意後見制度にかかる費用

任意後見契約は、公正証書により行うことが必要です。任意後見契約公正証書作成には図表3の費用がかかります。
 
【図表3】


 
任意後見人の報酬は、当事者間で自由に設定できますが、法定後見人の報酬を参考にしていて、同じような報酬体系になっています。
 

まとめ

後見制度にはそのほか、任意後見監督人選任の審判申立費用[判断能力の鑑定料(5万円~10万円)の他、収入印紙、申請手数料、連絡用の切手代]や、成年後見監督人の基本報酬(管理財産額により月額1万円~3万円)がかかります。
 
後見制度は、認知症になった人の財産を守る大事な制度ですが、申し立てに時間とお金がかかる、(特に専門家に頼む場合は)後見人への報酬が発生する、積極的に相続対策などの資産運用をすることができなくなる、(親族が後見人になる場合は)職務の負担が想像した以上に重い、財産管理に際してほかの親族ともめる可能性があるなどのデメリットがあります。
 
これらのデメリットも鑑みた上で、後見制度を利用するかどうか考えましょう。
 

出典

(※1)総務省 統計トピックスNo.132 統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで- 1.高齢者の人口
(※2)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 こころの情報サイト 「認知症」とは
法務省 いざというときのために知って安心 成年後見制度 成年後見登記制度
厚生労働省 法定後見制度とは(手続の流れ、費用)
日本公証連合会 公証事務
 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者

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