妻名義の口座にまとまったお金を移動。「贈与税」がかかるケースがあるって本当?

配信日: 2023.06.16

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妻名義の口座にまとまったお金を移動。「贈与税」がかかるケースがあるって本当?
日本では、夫婦の共有名義の口座が慣例的に存在しないため、夫婦であっても個々の名義の口座で資産を管理されている反面、夫婦だからこそ、曖昧にお金を動かす(融通する)こともあります。夫名義の口座から妻名義の口座に、お金を移動させることもあるかもしれません。
 
ただし、ある程度まとまったお金を移動させた場合、資産を受贈した側に贈与税がかかってしまうケースがあります。一体、どのようなケースで贈与税がかかってしまうのでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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贈与税について知っておこう

まず、押さえておきたいのが「贈与税とはどのような税金なのか」ということです。
 
贈与税とは、個人から贈与によって財産を取得したときにかかる税金のことであり、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの課税方法があります。ただし、「相続時精算課税」は、一定の要件に該当する場合のみに適用されるものです。ここでは、多くの人に関わる、「暦年課税」について説明します。
 
「暦年課税」の場合、1人の人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対して税金がかかります。つまり、1年間に贈与を受けた財産の合計額が、110万円以下なら贈与税はかかりませんし、贈与税の申告も不要になります。
 
110万円の控除は、口座間の資金移動にも適用されます。夫名義の口座から妻名義の口座にお金を移動させても、妻が年間に贈与を受けた総額(夫以外から受贈している場合には、その総額)が110万円以内であれば贈与税はかかりませんし、贈与税の申告もしなくても問題ありません。
 
反対に、1年間に110万円を超えたお金の受贈があったときには、贈与税がかかってしまいます。
 

110万円を超える高額なお金を移動する場合はどうなるの?

110万円を超える高額なお金を口座間で移動させる場合は、所定の贈与税を納めなければなりません。ただし、夫婦だからこその控除、特例が受けられることもあります。
 
婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、2000万円の控除を受けることができます。これは、夫婦ごとに20年以上の婚姻期間であるため、再婚して婚姻期間が20年以上にあるときには、再び2000万円の控除が受けられるという特性もあります。
 
とはいえ、控除が受けられる2000万円の使い道は、自由ではありません。基本的には、居住用の不動産を購入する資金が贈与される場合や、住宅ローンの支払時などでも利用できます。
 
また、この特例は基礎控除の110万円との併用が可能です。つまり、2000万円の控除+基礎控除が可能なため、最大で2110万円まで贈与税はかかりません。
 
ただし、この特例を利用して贈与を受けたときには、贈与を受けて支払った不動産に住み続けることが必要です。また、特例を受ける場合、たとえ贈与税がかからない場合であっても、贈与税のための申告手続きが必要になりますので、注意してください。
 

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110万円を超えても贈与税がかからないケースもある?

「110万円を超えると贈与税がかかるなんて……」「お金の管理はどうすればよいの?」と、ビックリしてしまった人もいるかもしれません。
 
確かに、基礎控除の110万円はベースではありますが、たとえ夫婦間でお金の移動があったとしても、配偶者が生活をするために必要な費用であれば、贈与税の対象にはなりません。
 
また、子どもの教育費の支払いのためのお金を夫名義の口座から妻名義の口座に移動させた場合にも、贈与税の課税の対象にはなりません。
 

相続税と比較をして贈与するのかを決める

お金は元気なうちに受け取りたいと思うかもしれませんが、節税という面では、相続税のことも考えて、贈与するのかを判断する必要があります。
 
相続時には配偶者控除といって、1億6000万円、または法定相続分のいずれか多い金額まで非課税となる制度があります。節税という観点からも、いつ、いくら贈与するのかを夫婦で話し合っておくとよいでしょう。
 
なお、事実婚の場合には、110万円の基礎控除は受けられますが、2000万円の特例の控除と、相続時の配偶者控除も受けられないことになっています。2人の関係性によっては、どのように資産を移動させるのかも考えておく必要があるでしょう。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)より No.4402 贈与税がかかる場合
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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