父が「自分が死ぬ前に」と毎年100万円贈与してくれることになりました。税金がかからないって本当ですか?
配信日: 2023.06.29
暦年贈与の内容を押さえておかないと、定期贈与とみなされ、贈与税や相続税が課されるリスクがあるので注意が必要です。贈与税対策、相続税対策として暦年贈与を計画している人は必見です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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暦年贈与は「将来的な相続税を節約できる仕組み」
暦年贈与とは将来的な相続税を節約できる仕組みのことで、1年間の贈与額が110万円以下になる場合は贈与税がかかりません(1月1日~12月31日まで)。
非課税で子どもに資産を移せるため、被相続人が亡くなる前に相続税課税対象資産を減らせます。相続人に課せられる将来的な相続税を減らせるとあって、生前のうちに資産を移す人もいます。暦年贈与を利用する場合は、非課税のため贈与税の申告は必要ありません。
・暦年贈与は身内以外にもできる
暦年贈与は身内以外の人も対象となります。父親から子へ財産を贈与する場合だけでなく、他者へ贈与する場合にも適用されます。
ただし、複数人から贈与を受ける場合、贈与をした人ごとに110万円の基礎控除を受けられるわけではなく、まとめて110万円の基礎控除しか受けられないので注意が必要です。父と母が別々に暦年贈与を予定している場合には、基礎控除の額を超えないようにしましょう。
定期贈与とみなされる可能性があるので注意
暦年贈与で毎年110万円以下を贈与していき、結果的に総額1000万円の贈与になった場合は非課税となります。
ところが、元々1000万円の贈与を計画していて毎年10回に分けて贈与した場合では、定期贈与とみなされる可能性が高くなります。税務調査対策として、贈与前に暦年贈与であると証明できる贈与契約書を用意しておきたいところです。
・暦年贈与と併用できない相続時精算課税制度に気を付けよう
暦年贈与と相続時精算課税制度は併用できないので注意が必要です。相続時精算課税制度を利用すると、60歳以上の父母や祖父母が18歳以上の子や孫に財産を贈与する場合に、2500万円までなら贈与税が発生しません。
子や孫へ財産を相続させる場合によく利用されている制度です。ただし、将来的に相続税計算時には持ち戻して相続税が課せられます。暦年贈与とは併用できないので注意しましょう。
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相続開始3年以内の贈与は相続税が課税される
暦年贈与は贈与税・相続税対策になると上述しましたが、被相続人が亡くなって相続が開始される前、3年以内は相続税の計算対象となります。2023年時点では3年以内の贈与の持ち戻しとなっていますが、2024年1月1日以降は7年に延長されます。
延長した相続開始前4~7年の間に贈与を受けた場合100万円までは非課税となりますが、超過した分に関しては相続税が課せられるので注意が必要です。
暦年贈与は早めに贈与する人に向いている
暦年贈与は持ち戻し期間を考えると、早めの贈与を行う人に向いているといえます。ただし、毎年同じタイミング・額を贈与すると税務書に定期贈与と判断されるリスクがあるので、都度契約書を作成したり、贈与額を変えたりするなどの対策が必要です。
また、被相続人の名義預金と判断されると贈与と認められないため、口座振り込みをする場合は相続人名義の口座に振り込むことが大切です。面倒だからと被相続人名義の口座を新たに開設し渡していた場合、被相続人の財産としてみなされるリスクがあります。
出典
財務省 「令和5年度税制改正」(令和5年3月発行) 2 資産課税
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4410 複数の人から贈与を受けたとき(暦年課税)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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