更新日: 2023.07.07 遺言書

安心で確実な公正証書遺言、その特徴とは?

安心で確実な公正証書遺言、その特徴とは?
自らの最後の意思表示を、相続人などへ伝わるようにするために作成するのが遺言です。その形式の1つとして公正証書遺言があります。自筆証書遺言や秘密証書遺言で遺言を残すより安心で確実であるとされていますが、どのような特徴があるのでしょうか。
井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

専門は公的年金で、活動拠点は横浜。これまで公的年金についてのFP個別相談、金融機関での相談などに従事してきたほか、社労士向け・FP向け・地方自治体職員向けの教育研修や、専門誌等での執筆も行ってきています。

日本年金学会会員、㈱服部年金企画講師、FP相談ねっと認定FP(https://fpsdn.net/fp/yinouchi/)。

公証人が作成する公正証書遺言

公正証書遺言は、その名のとおり、公証役場の公証人が作成する遺言です。公証人とは、元裁判官の人などがなる、法務大臣に任命された公務員となります。
 
その公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の内容を伝え、公証人がその内容を書くことによって作成します。公証人という法律の専門家が書くため、自筆証書遺言のような、遺言の形式面での不備で無効になることは避けることができます。また、作成にあたって、証人2人も立ち会います。
 
作成にあたっては、遺言者が公証人の作成した遺言書の内容を確認し、遺言者と証人それぞれが署名・押印します(※遺言者が署名できない場合は公証人がその理由について付記)。そして、その後、公証人が当該遺言書へ署名・押印することによって完成します。
 
作成された遺言書の原本は公証役場に保管されることになるため、遺言書が改ざんされたり、遺言書を紛失したりする恐れがなくなります。その反面、遺言者が手元に保管する公正証書遺言の謄本を破棄したとしても、遺言を撤回したことにはなりません。遺言を撤回したくなった場合は、公証役場で撤回の申述をするか、遺言を作成し直すかいずれかが必要となります。
 

費用もかかることを理解したうえで作成

このような特徴のある公正証書遺言ですが、その作成には費用がかかります。【図表1】のように公証人への手数料があり、相続させる財産の合計額などによってその費用は異なります。
 


 
また、公正証書遺言は自筆証書遺言と異なって1人では作成できず、先述のとおり証人が2人必要です。【図表2】のとおり証人になることができない人がいますので、これら以外の人から証人を探す必要があります。
 

 
証人は、弁護士、司法書士、行政書士などに依頼することや公証役場で紹介されることがありますが、その際、証人への手数料もかかります。弁護士等に遺言書作成そのもののサポートを依頼する場合もその費用がかかることになり、作成にあたって用意する戸籍謄本、印鑑証明書、不動産の登記事項証明書の発行手数料もかかるでしょう。
 
以上のように、公正証書遺言は公正証書でもって作成でき、安心で確実である一方、作成に手間と費用もかかるという特徴があります。遺言ができるうちに遺言書を作成しておくことが大切ですが、公正証書遺言を活用する場合は、こういった特徴を理解しておく必要があるでしょう。
 
執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー
 

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