タンス預金にリスクはない? 相続税対策にならない理由とメリット・デメリットを把握しておこう

配信日: 2023.07.31

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タンス預金にリスクはない? 相続税対策にならない理由とメリット・デメリットを把握しておこう
ニュースなどで、「タンス預金」という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。タンス預金とは、銀行に預けず自宅に現金を保管する行為を指します。利子が付かない一方、取引の手間がなく、いつでも自由に使える点がメリットです。
 
しかし、タンス預金が相続税対策になると誤解している人も少なくありません。本記事では、タンス預金のメリット・デメリットや、相続税対策にならない理由について詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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タンス預金とは

「タンス預金」とは、一般的に自宅で現金を保管する行為を指します。「タンス預金」の名称は、かつて現金を実際にタンスへ保管していたことに由来していますが、現代では金庫や引き出し、仏壇や食器棚など、自宅のあらゆる場所に保管されている現金全体を指す俗称となっています。
 
日本銀行の発表によれば、日本全国の「タンス預金」は驚くべきことに100兆円を超えています。この事実は、どれだけ時代が進んでも、現金を手元に保管しておきたい、と考える人が依然として多いということです。
 

タンス預金のメリット

「タンス預金」は、利便性の高さから多くのメリットがあります。手元の現金は、手数料や時間制限を気にせずに、必要な額をいつでも自由に使えます。相続時に万一、銀行口座が凍結された場合でも、支払い資金に困らないという利点もあります。
 
また、「タンス預金」は国に知られずに貯めることが可能だという認識が広まっています。税務署が財産総額を正確に確認することは難しくなると思われるため、プライバシーを保ちつつ貯蓄できると考える人が多いようです。さらに、デフレが進行すると現金の価値が上がる可能性がある点からも、「タンス預金」が減りにくいと考えられます。
 

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タンス預金のデメリット

タンス預金には、複数のデメリットがある点も把握しておきましょう。
 
まず、金融機関に預けることなく保管する現金は、災害や盗難により失うリスクを避けられません。また、現金を自宅等で保管していると、どこに保管したかを忘れてしまったり、認知症などによりその存在を思い出せなくなったりする可能性もあります。
 
さらに重要なのが、遺産相続時の問題です。「タンス預金」の存在が明らかになっていない場合、相続税の申告漏れを引き起こす可能性があります。結果的に過少申告加算税が課せられる場合や、刑事罰の対象となる可能性もあるので注意が必要です。
 
また、「タンス預金」で高額な現金を保管していても、インフレが起きると価値が下がってしまいます。旧通貨が無効になると価値がなくなる点にも気をつけましょう。
 
これらのリスクを考慮すると、「タンス預金」の管理方法を見直すことが推奨されます。家族間での情報共有やエンディングノートへの記載など、透明性を保つことが重要です。
 

タンス預金が相続税対策にならない理由

「タンス預金」が相続税対策になると考えている人も少なくありませんが、「タンス預金」も相続税の対象です。税務署は故人の資産をおおまかに把握しており、申告額が少なければ調査の対象となります。隠し預金が発覚すると重加算税の対象になる可能性もありますので、相続税対策として自宅に現金を隠すのは推奨できません。
 
リスクを避けるには、生前贈与や不動産の活用など、合法的な方法を活用するのが有効です。相続税対策はきちんと計画し、適切な対策を行うことが重要となります。
 

タンス預金は相続税対策には不向き! 別の方法で対策しよう

「タンス預金」は、相続税対策として適切な手段ではありません。税務署の調査対象になる場合があり、隠し預金が発覚した際には重加算税の対象になる可能性があります。
 
さらに、金融機関を通さず現金を保管すると災害や盗難のリスクが伴います。インフレ時に価値を失うなどのデメリットもあり、おすすめはできません。
 
相続税対策を検討している人は、自宅に現金を隠すのではなく、生前贈与や不動産などの合法的な手段を活用するのがおすすめです。これらの方法なら、リスクを回避しつつ遺産を有効に活用できます。適切な計画と対策により、相続税問題をスムーズに解決しましょう。
 

出典

日本銀行 調査統計局 資金循環統計の遡及改定(予定)について

e-Govポータル 相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)

国税庁 相続税の申告要否判定コーナー

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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