親から引き継いだ自宅の税金が一括で払えない! 相続税や贈与税は分割可能?

配信日: 2023.07.31

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親から引き継いだ自宅の税金が一括で払えない! 相続税や贈与税は分割可能?
親から自宅などの財産を取得した際には、相続税や贈与税が発生します。相続税も贈与税も、原則として納付期限までに現金で一括納付しなければなりません。
 
しかし、まとまったお金が必要なので、納付が困難なときは、延納や分割納付ができたらいいのにと考えたりするケースもあることでしょう。本記事では、相続税や贈与税がどんな税金なのかをはじめ、一括納付が困難な際に検討したい延納制度について解説します。
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相続税や贈与税は財産を受け取った際に発生する税金

相続税も贈与税も、財産を取得した際に発生する税金です。
 
相続税は死亡した人から財産を取得した際に、その取得財産に対して発生します。この場合の財産とは、現金・預貯金・有価証券・宝石・土地・家屋などのほか、貸付金、特許権・著作権といった経済的価値のあるものが対象です。
 
ただし、財産を相続した人すべてに相続税が発生するわけではなく、相続税の基礎控除額を上回った場合のみ発生します。基礎控除額の計算式は「3000万円+600万円×法定相続人の数」となっており、相続財産が下回れば相続税はかかりません。
 
贈与税は、個人から財産の贈与を受けた際に発生し、暦年課税と相続時精算課税の2種類に分類されます。
 
暦年課税とは、1~12月までの1年間に行われた贈与に対して課税される制度です。ただし、基礎控除額が110万円と定められており、1年間で贈与を受けた財産が110万円を超えなければ、贈与税はかかりません。
 
相続時精算課税とは、親や祖父母といった贈与者から相続を受けた財産のうち2500万円までは課税されない制度です。2500万円を超えた部分に対しては、一律20%の贈与税がかかります。
 
その後、贈与者が亡くなって相続が発生した際には、贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合算した額から相続税額を計算します。納付済みの贈与税がある場合は、差額の相続税の納付が必要です。
 

納付期限までの一括納付が原則

相続税、贈与税はともに、原則として納付期限までに一括納付しなければなりません。


・相続税の納付期限:被相続人の死亡を確認した日(被相続人)の翌日から10ヶ月以内
・贈与税の納付期限:財産の贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日まで

相続や贈与を受けた金額が高くなるほど、税額の負担が高くなります。納付期限を過ぎると延滞税や無申告加算税が課されるため、必ず期限までに納付を行ってください。
 

相続税や贈与税は分割で納付する方法とは?

納付期限までに納付が困難な事情がある場合は、延納制度によって納付が困難な額を限度として年賦が可能です。延納制度の要件は以下のとおりで、納付期限または延納申請期限までに延納申請書および担保提供関係書類を税務署に提出します。


・税額が10万円を超える
・金銭で納付することが困難な事由があり、納付を困難とする金額の範囲内である
・延納税額および利子税の額に相当する担保を提供する(延納税額が100万円以下、かつ延納期間が3年以下の場合は担保の提供は不要)

延納には延滞利子税が発生するものの、税務署から申請が承認されれば納付期限までに一括納付する必要はなくなります。
 

審査に3ヶ月程度の期間を要する

延納申請書および担保提供関係書類を税務署に提出してから承認されるまでには、3ヶ月程度の期間を要します。
 
ただし、延納申請に係る担保が複数あったり、気象条件によって担保財産の審査が困難だったりする場合は、6ヶ月程度の期間を要する場合もあります。延納制度の申請が許可または却下のどちらであっても、申請者宛てに結果が通知されるので到着を待ちましょう。
 

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相続税や贈与税の一括払いが難しい場合は延納制度を利用しよう

相続税や贈与税は、原則として一括納付をしなければなりませんが、事情があって困難な場合は延納制度を検討してみてください。年賦にすることで、相続税や贈与税の納付をできるようになるでしょう。
 
延納制度の要件を満たし、納付期限または延納申請期限までに延納申請書および担保提供関係書類を税務署に提出したら、結果が通知されるのを待ってください。なお、結果通知までには3ヶ月程度(提供する担保によっては6ヶ月)の期間を要します。
 

出典

国税庁 相続税のあらまし
国税庁 No.4105 相続税がかかる財産
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 財産をもらったとき
国税庁 相続税贈与税の延納の手引き
国税庁 No.4211 相続税の延納
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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