更新日: 2023.08.19 贈与

祖父母から「税金はかからないから!」と100万円をもらったけれど……本当に非課税なんですか?

執筆者 : 柘植輝

祖父母から「税金はかからないから!」と100万円をもらったけれど……本当に非課税なんですか?
金額に大小はあれど、多くの方が、祖父母からお金をもらうという経験をしたことがあるでしょう。そこで気になるのは贈与税の存在です。
 
祖父母からもらうお金に、贈与税はかからないのでしょうか。祖父母から100万円を受け取った方の事例を基に解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

年間で110万円までなら贈与税は非課税になる

祖父母から受け取るお金に発生する可能性のある税としては、贈与税があります。贈与税は、1月1日から12月31日までの1年間で受け取ったお金が110万円を超えた場合に発生します。
 
祖父母から合計100万円を受けただけであれば、そこに贈与税は発生せず、非課税と考えてよいでしょう。ただし、同じ年に祖父母から別に贈与を受けていた場合、あるいは父母など他の人から贈与を受けていた場合は注意です。
 
贈与税は贈与を受けた人が払う税金です。その計算の際は、1人が1年間で受けた贈与の額を足していきます。そのため、祖父母それぞれから100万円ずつもらえば、贈与された額は200万円となり、贈与税が発生します。また、例えば別で父から50万円をもらっていた場合は、年間で贈与を受けた額は150万円となり、贈与税が発生します。
 
このように、贈与税の有無とその額は、1年間で合計してどれだけの贈与を受けたかによって判断する必要があります。
 

学費や生活費などであれば非課税である

年間で受け取った贈与が110万円を超えると贈与税が発生するとはいえ、贈与の中にも非課税となるものがあります。扶養義務者から受け取る生活費や教育費がその例です。
 
一般的に扶養義務者とは、父母だけでなく祖父母も該当します。もし、祖父母から受け取った100万円が生活費や教育費としてのものであれば、他者から贈与を受けたり、その後追加で祖父母から贈与を受けて、年間で受けた贈与の額が110万円を超えたりしても、最初に受け取った100万円は課税対象にはなりません。
 
ただし、それは生活費や教育費として必要なものについて、都度贈与を受けた場合に限られます。例えば、1年分の生活費が200万円程度必要となるところ、生活費と称して1000万円もらった場合は、生活費として必要ないと判断され、贈与税が発生する可能性が高いでしょう。
 

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契約書を作っておくとよい

「なかなかそこまで」と思うかもしれませんが、万が一のときの備えとして、贈与における契約書を作っておくこともおすすめです。
 
そうあることではありませんが、祖父母が亡くなり相続があった際、契約書がないと親族間で「あの時の100万円は何だ!? 無理やりお金をせびったのか!? 本当は借りたんじゃないのか」などと、贈与があらぬ疑いの原因となり、それが相続争いに発展する可能性もあります。
 
また、税務調査が実施される際も、その100万円の贈与についての契約書があることで、お金の流れを正しく証明できます。特に年間で110万円以上の贈与を受けている中、祖父母からもらった100万円が学費や生活費として非課税となる場合は、その旨の証明のためにも契約書を作っておくべきでしょう。
 

贈与を受ける際は110万円を超えるかどうかが重要

贈与は年間で110万円を超える部分が課税対象となるため、基本的に祖父母から100万円の贈与を受けても贈与税は発生しません。
 
仮に110万円を超えたとしても、それが生活費や学費など扶養義務者の扶養義務に基づいて受け取るものであれば、社会通念上相当な金額であれば非課税となります。
 
祖父母から孫への贈与は何かと問題になりやすい部分です。もし、贈与を受ける場合は税金面だけでなく、契約書を作成するなど、有効な契約が存在していることが外部からも確認できるよう準備しておくことをおすすめします。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和5年度版) 財産をもらったとき
国税庁 扶養義務者(父母や祖父母)ら「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A(情報) 別添
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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