勝手にできないって知っていた? お墓の引っ越しは自治体への手続きが必要! 費用とあわせて解説

配信日: 2023.08.20 更新日: 2023.08.22

この記事は約 4 分で読めます。
勝手にできないって知っていた? お墓の引っ越しは自治体への手続きが必要! 費用とあわせて解説
近年、お墓を引っ越す人が増加傾向にあるようです。厚生労働省の統計によると、2011年には約7万7000件だったお墓の引っ越しが、2020年には約11万8000件と大きく増加しています。その背景にはどんな理由があって、実際にお墓の引っ越しはどうすればいいのでしょうか。
 
本記事では、お墓の引っ越しが増加している理由と、お墓を引っ越す際の手続き方法や費用について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

お墓の引っ越しが増えている理由

お墓の引っ越しの正式名称は「改葬」です。改葬を行う人は毎年、増加傾向にあって、2011〜2020年の10年間で約1.5倍に増えています。
 

改葬を行う理由

株式会社 メモリアルアートの大野屋が2020年に行った「お墓の引っ越し「改葬」アンケート調査」によると、改葬を考えた理由の1位は「墓参りの身体的負担の大きさ」で、2位は「子どもや孫にお墓の維持管理の負担をかけたくない」でした。
 
このことから、自宅から遠く離れた実家のお墓参りや、お墓の維持管理を負担に思う人が増えていることが分かります。また、3位には「お墓を守る人がいなくなった」との回答が入っており、先祖代々のお墓を取り巻く厳しい現状がうかがえます。
 

移転先を選んだ理由

同調査によると、お墓の移転先を選んだ理由の1位は「霊園の環境」で、2位が「交通の便の良さ」でした。このことから、改葬を行う人にとって重要なのは、お墓参りや維持管理のしやすさであることが分かります。また、実際に改葬を行った人の約60%が、お墓参りの回数が増加したと回答しています。
 

お墓を引っ越す際の手続き方法

お墓の引っ越しは、自分の意志だけではできません。改葬を行うためには、厚生労働省が定める市区町村長の許可が必要です。
 
改葬を行うためには、まず移転先を決めた上で、当該のお寺や霊園などから「受入証明書」を入手して必要事項を記入します。次に、お墓がある市区町村で「改葬許可申請書」を入手してください。
 
その上で、現在、納骨しているお寺や霊園などの管理者から、「改葬許可申請書」(別紙の証明書でも構いません)に納骨の事実を証明する署名捺印をもらいます。なお、改葬申請者と移転先名義人が異なる場合は、「墓地使用名義人の承諾書」が必要です。これらの書類を市区町村の役所に提出すると「改葬許可書」が発行されます。
 
当許可書を移転先のお寺や霊園などがある市区町村と、お寺や霊園などに提出すれば改葬手続きは完了です。
 

【PR】「相続の手続き何にからやれば...」それならプロにおまかせ!年間7万件突破まずは無料診断

お墓の引っ越しにかかる主な費用

改葬には、墓石の解体・撤去と、新たな墓石や墓地などの購入費用、宗派によっては、お布施などがかかります。独立行政法人国民生活センターによせられた相談の中には、寺などから、高額なお布施を要求されたという事例があります。離檀料やお布施には明確な基準はありません。高額な請求に納得がいかない場合は、寺などと充分に話し合いましょう。
 

墓石の解体・撤去費用

改葬を行う場合、元のお墓の墓石を解体・撤去して、墓地を更地にして返す必要があります。そのためにかかる費用は、1平方メートルあたり10〜20万円程度が相場となっています。なお、お墓の面積は2平方メートル以下が一般的とされています。
 

新たな墓地や墓石などの購入費用

株式会社鎌倉新書が運営するお墓の情報サイト「いいお墓」が2023年1月に行った第14回お墓の消費者全国実態調査によると、一般墓(墓石、墓地、その他費用)の平均購入価格は約152万円でした。内訳は、墓石代が約108万円、墓地の利用料が約59万円です。
 

お布施代

この場合のお布施は、お墓の解体・撤去を行う前にとり行う法要に対する謝礼です。金額は、通常時にとり行う法要のお布施と同程度で構いません。法要の一般的なお布施の金額は3〜10万円程度です。なお、檀家を離れる場合は、お布施に離檀料を上乗せする場合があります。
 
ただし、法要のお布施と同じく離檀料に明確な基準はないため、お寺ときちんと話し合った上で決めることが大切です。また、宗派によっては必要がない場合もありますので事前に確認するとよいでしょう。
 

既存の墓石を移転する費用

既存の墓石をそのまま新しい墓地へ移転する場合は運送費がかかります。運送費は運ぶ距離によって異なるため、複数の業者に見積りを依頼すると安心です。
 

まずは情報を収集して費用の見積りを取ろう

お墓の引っ越しである「改葬」を行う人が増えている背景には、地方の実家を離れて暮らす人が少なくない現状が影響しています。ただ、勝手にお墓を撤去して引っ越すことは法律違反のため、改葬を行う場合は必ず市区町村の許可を取ることが必要です。
 
また、改葬には多額の費用がかかる場合があります。そのため、もし改葬を考えているのであれば、まずは改葬に関する情報を集めた上で費用の見積りをとり、判断をしましょう。
 

出典

政府統計の総合窓口「s-Stat」 データセット一覧
「e-GOV」墓地、埋葬等に関する法律
独立行政法人国民生活センター 墓じまい離檀料に関するトラブルに注意
株式会社メモリアルアートの大野屋 お墓の引っ越し「改葬」アンケート調査
株式会社鎌倉新書 お墓の情報サイト 「いいお墓」 第14回お墓の消費者全国実態調査(2023 年)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集