祖父がタンス預金から「200万円」くれました。贈与税はかかりませんか? そのままもらって大丈夫なのでしょうか?
配信日: 2023.08.24
本記事では、「ラッキー! 」と飛び付く前に頭に巡らせてほしいことを解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
110万円超の贈与では贈与税が発生する
「祖父が200万円をくれた」、「孫はありがとうと受け取った」。この行為自体に何か問題があるわけではありません。祖父と孫の合意の上で行われた単なる贈与です。孫がタンス預金から盗んだわけでも、祖父を脅して取ったわけでもないからです。
ただし、年間110万円を超える部分の贈与については贈与税がかかる点に注意しなければなりません。200万円の贈与であれば、110万円を差し引いた残額90万円に対して贈与税を納めなければならないため、孫は200万円を受け取った年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告をする必要があります。
贈与税の申告なしで200万円もらう方法
200万円の出所はタンス預金でした。通帳など何の記録にも残っていないことから、「申告しなくてもバレないだろう」と考えるかもしれません。しかし、税務署にバレる可能性はゼロではないので、おすすめしません。
前項で贈与税は年間110万円までの贈与であればかからないと解説しました。つまり、とりあえず100万円受け取り、翌年にまた100万円受け取れば、合法的に贈与税非課税で済ませられるのです。
祖父が認知症の場合にはすぐ受け取らないほうがよい
贈与は法律行為の一種です。民法549条には、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と定められており、意思判断能力のある人同士が合意したことが前提となっています。
よって、祖父が認知症で意思判断能力を失っている状態で200万円を与える意思を表示し、孫が受諾したとしても効力は生じません。もし、認知症の祖父から孫が200万円を受け取ったことが親族にバレたらどうなるでしょうか。
「祖父をだましたのか」、「勝手に取ったのか」などのトラブルの発生が予想できます。認知症と診断されている状況であれば、祖父が「贈与だ」と言ったとしても、それで孫の疑いが晴れるとは考えにくいでしょう。
認知症の祖父から200万円もらう際に気をつけること
認知症だと贈与ができないというわけではありません。まだ軽度の認知症であり、意思判断能力を有していると医師の診断を受けられれば贈与は可能です。
認知症の祖父から贈与の提案があったら、まずは親や親族など信頼できる人に相談しましょう。そして、医師の診断や贈与契約書の作成など、適法な段階を踏んでから正式に贈与を受けるとよいでしょう。弁護士などの専門家に相談しながら進めると、より安心ですね。
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まとめ
祖父が突然タンス預金から200万円くれた場合、すぐには受け取らないほうがよいでしょう。特に、認知症と診断されたのを知っているのであれば、受け取ってはいけません。贈与や相続における家族トラブルは、秘密裏に財産が動いていたことに対して起こりやすいです。
将来相続人になり得る立場の人の視点で考えれば、自分の知らないところで百万円単位の贈与が行われていたことを知ったら「ズルい!」となりますよね。贈与税の発生、家族トラブルの懸念についてよく知った上でどうするのか検討しましょう。
出典
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
e-Gov法令検索 民法
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士