更新日: 2023.08.25 その他相続

父の死後、「自分宛ての口座」を発見! そのままもらって大丈夫? なにか手続きは必要なの?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

父の死後、「自分宛ての口座」を発見! そのままもらって大丈夫? なにか手続きは必要なの?
父親の死後、遺品整理をしていたら、自分宛て(自分名義)の口座を発見して驚いた人もいるのではないでしょうか。最初は親の思いに感謝していても、自分がそのままもらっても大丈夫なのだろうかと、次第に不安を感じるかもしれません。
 
そこで今回は、このようなケースの場合に関しての遺産相続について、そのままもらって大丈夫なのかどうかを、わかりやすく解説していきます。
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自分がそのままもらってもいいの? 「自分宛ての口座」の相続について解説

結論からいうと、自分がそのままもらえるかどうかは、相続をする手続き次第といえます。というのも、父の死後に発見した「自分宛ての口座」は、法律上は遺産相続の対象に含まれるからです。
 
そして、遺産を相続する場合は、すべての相続人に公平になるように、適切な手続きをすることが望まれます。適正な手続きをすることにより、「自分宛ての口座」のすべてのお金をそのまま自分が相続できるのか、または、ほかの相続人にも分配する必要があるのかがわかります。
 
その手続をする上での重要なポイントが、父親が生前に遺言状を残していたかどうかといえるでしょう。なぜなら、遺言状がある場合は、「自分宛ての口座」にあるお金が遺産に相当するものかどうかを、「遺産確認の訴え」を起こさなくても容易に判断することができるからです。「遺産確認の訴え」とは、相続人側が、口座にあるお金を遺産として確定するために起こす民事訴訟のことです。
 

遺言状の有無によってどう違うの? 遺産相続の手続きを紹介

父親が生前に遺言状を残していた場合は、その内容にしたがって、「自分宛ての口座」のお金を相続することができます。例えば、遺言状に「この口座のお金は〇〇(自分の名前)にすべて相続する」と明記してあれば、問題なく全額をそのまま相続可能です。
 
ただし、遺言状は公正証書や自筆証書など、正式に認められている形式で作成されている必要があります。また、たとえ遺言状にしたがって遺産を相続しても、その内容を不服とするほかの相続人から、異議や訴訟を起こされる可能性もありますので、注意しなければなりません。
 
遺言状が残されていない場合は、民法に定められた法定相続制度に基づいて、「自分宛ての口座」のお金を相続することになります。状況によっては「遺産確認の訴え」を起こして、口座のお金を遺産として確定させなければなりません。法定相続制度に基づく相続とは、配偶者や子どもなどの親族間で、一定の割合で遺産を分けて相続する仕組みのことです。
 
例えば、父が、配偶者と子ども2人(自分を含む)を残して亡くなった場合は、配偶者が遺産の2分の1を相続し、子ども2人は残った分を均等に分けて相続します。つまり、たとえ口座が自分名義になっていても、全額は相続できないのです。
 
ほかの相続人が同意してくれれば、自分が全額を相続することも可能です。ただし、その場合は「贈与税」の問題が発生する可能性がありますので、気をつけなければなりません。
 

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贈与税とは? 知っておきたいポイントを解説

贈与税とは、親族間などでお金や財産を贈与するときにかかる税金のことです。贈与税は、贈与された金額に応じて累進的に課税されます。具体的にいうと、1年間に受け取った贈与額が110万円以下の場合は、贈与税はかかりません。しかし、贈与額が110万円を超えると、10%から55%までの税率で課税されます。
 
気をつけなければならないのは、贈与税は1年間に受け取った贈与の合計額で計算されることです。つまり、「自分宛ての口座」のお金のほかにも、親族からお金や財産を受け取った場合、110万円はそれらを合わせた分から控除されることになります。
 

必要な法律を把握して遺産と思いを相続しましょう

遺産を相続する場合、遺言状があるかどうかによって相続できる金額が異なってきます。今回のケースの場合は、たとえ口座の名義が自分になっていても、遺言状がなければすべてを相続することはできないのです。
 
また、たとえ遺言状にしたがってすべてを相続したとしても、その後に親族への対応が必要になる場合もあります。自分のために口座まで作って残してくれた遺産には、父親の思いを感じることができるでしょう。その思いを無駄にしないためにも、必要な法律をしっかりと把握し、遺産を問題なく相続することが望まれます。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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