更新日: 2023.09.04 その他相続

義父に「なんで嫁が息子の遺産を受け取るんだ?」と嫌味を言われましたが、正当な相続ですよね?

義父に「なんで嫁が息子の遺産を受け取るんだ?」と嫌味を言われましたが、正当な相続ですよね?
相続はお金や財産が動くことから、何かしらの問題が起こりやすい出来事です。特に、配偶者の相続財産を自分が受け取っている場合、義父や義母(亡くなった配偶者の父や母)などから財産を渡すよう要求されることもあります。そこで、夫の財産を相続した妻の事例を基に、妻が夫の財産を相続することの是非を解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

相続人の範囲

相続人となれる人の範囲は民法によって明確に定められています。民法上、亡くなった人の配偶者は常に相続人になるとされています。夫が亡くなれば妻が、妻が亡くなれば夫が、常に相続人になるということです。
 
それに加え、相続順位には第1順位から第3順位まであり、その中で一番順位の高い人が配偶者とともに相続人となります。なお、同順位の人が複数いれば、その同順位の人全員が均等な割合で相続人になります。
 
図表1
 

 
出典:国税庁 相続税のあらまし
 
第1順位は亡くなった人の子どもです(子どもが亡くなっていれば孫が、孫も亡くなっていればひ孫が代わって相続人となります)。配偶者と相続分を2分の1ずつの割合として、相続人となります。
 
第2順位は亡くなった人の父母です(父母が亡くなっていれば代わりに祖父母が相続人となります)。この場合、配偶者が3分の2、父母が3分の1の割合で相続人となります。
 
第3順位は亡くなった人の兄弟姉妹です(兄弟姉妹が亡くなっていればおい・めいが相続人となります)。この場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で相続します。
 

夫の財産は義家族が存在しても妻が受け取れる

先ほど見てきたように、配偶者は常に相続人となります。そのため、義父から見れば他人である息子の嫁が息子の財産を相続したとしても、それは正当な相続となります。もし、義父はじめ義理の家族に「なんで嫁が息子の遺産を受け取るんだ?」と言われたとしても、後ろめたく思ったり、「正当な相続でないのではないか」と心配したりする必要はありません。
 
例えば、遺族が妻の他には義父母がいるという状況であった場合、妻が3分の2、義父母が合計で3分の1の割合で相続します。また、遺族が妻の他に、夫と妻の間の子と、義父母がいるという状況で考えてみましょう。この場合、妻と子どもがそれぞれ2分の1ずつの割合となり、義父母の相続分はありません。
 

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遺留分侵害額の請求をされるのでは?

相続においては「遺留分侵害額の請求」といって、「遺留分」という法律上保障されている最低限の相続分を請求されることがあります。この遺留分は父母にも認められているため、義父母も当然妻に対して遺留分侵害額の請求を行使することは可能です。
 
ただ、遺留分侵害額の請求は、法律上保障された相続分が侵害されている場合に、請求できる制度です。法定相続分どおりに分配されている限り、義父に1円も財産が渡らずとも「正当な相続」となり、遺留分侵害額を請求されることもありません。
 

まとめ

法律上、配偶者は常に相続人となるため、義家族が存命中であり、相続に関して嫌みを言われたとしても、正当な相続であれば財産を受け取って問題ありません。相続制度は複雑である上、人の死や財産の移動を伴うことから、一時的に感情が高ぶった親族に嫌みを言われてしまうこともあるでしょう。
 
相続は誰でも当事者となり得る問題です。人ごとだと思わず、正しい知識を身に付けるとともに、適宜専門家に相談するようにしましょう。
 

出典

国税庁 No.4132 相続人の範囲と法定相続分

裁判所 遺留分侵害額の請求調停

国税庁 相続税のあらまし

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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