更新日: 2023.09.15 贈与

親が貯めていた「児童手当200万円」を大学の学費としてくれるのですが、「税金」はかかりますか?

執筆者 : 柘植輝

親が貯めていた「児童手当200万円」を大学の学費としてくれるのですが、「税金」はかかりますか?
親の中には、毎月支給されていた児童手当をためておき、子どもの大学進学に合わせて、学費として贈与する人もいるようです。そこで気になるのが税金です。学費としてためてきた200万円もの児童手当を親から受け取る場合も、税金が発生するのでしょうか。考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

親から子への贈与には、基本的に贈与税が発生する

基本的に人から人へ財産の贈与があった場合、贈与税という税金がかかります。たとえそれが、非課税で、子どもの養育のために支給された児童手当が原資であったとしても、親から子に贈与がなされるのであれば、贈与税の対象となります。
 
とはいえ、1円からでも贈与税が発生するわけではありません。贈与税の暦年課税には年間110万円の基礎控除が適用されます。すなわち、1年間で110万円を超える贈与を受け取った場合に発生します。
 
ここでいう110万円とは、1個人が全ての人から受け取った贈与を合計します。例えば、1年間で親からは50万円しか受け取っていないけれど、祖父母から70万円を受け取ったことで合計120万円になった場合は、1年間の合計額が110万円を超えており、贈与税が発生するという具合です。
 

例外的に学費は非課税となる

贈与に対して贈与税が発生するとはいえ、こと学費に対しては例外的に贈与税がかからないという取り扱いがなされています。
 
学費は贈与税においては教育費に分類され、扶養義務者から受け取った生活費や教育費のうち、通常必要と認められる金額で都度その目的に充当されるものは非課税とされているからです。そのため、大学の学費として、親がためていた児童手当200万円を一括で受け取ったとしても、都度使われる範囲においては、贈与税は非課税となります。
 
ただし、それはあくまでも都度使われる学費部分に関してです。例えば学費が50万円しかかからないのに、学費と称した200万円の贈与を受けると、実際には学費として使われない150万円の部分は贈与税の課税対象となる、などという点には注意してください。
 

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児童手当を学費のために貯金していても大丈夫なの?

児童手当をためていたとなると、気になるのが「将来の学費のためとはいえ、児童手当を貯金していても大丈夫なの?」という点です。この点、児童手当については資金使途が決められていないので、貯金しても問題ありません。
 
「児童手当等の使途に関する意識調査報告書」によれば児童手当の使途(予定含む)については、57.9%と半数以上の親が、「子どもの将来のための貯金や保険加入のための保険料」に利用しています。ためていた児童手当が、子どもの大学進学のために使われるのであれば、それは非常に有意義な児童手当の使い方になっているといえます。
 

贈与税がかからない場合であっても手続きが必要?

贈与税が発生する場合であれば、翌年の2月1日から3月15日の間に、確定申告によって納税と申告の手続きが必要になります。では、贈与税が発生しない場合はどうでしょうか。この場合、贈与の合計額が基礎控除内であった場合も、学費として使用されて非課税となった場合も、どちらにおいても申告や納税の手続きは必要ではありません。
 

児童手当200万円を学費として贈与しても税金はかからない

基本的に110万円を超える贈与があると贈与税が発生しますが、それが学費として使用されたのであれば、贈与税はかかりません。そのため、ためてきた児童手当200万円を親から子へ贈与しても、学費として使用される範囲に関しては、非課税です。
 
ただし、それを学費として受け取っても、その他の目的で使ってしまうと贈与税がかかることになります。学費として受け取るのであれば、そういった点に注意をするようにしてください。
 

出典

国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合

内閣府 児童手当等の使途に関する意識調査報告書

 
執筆者:柘植輝
行政書士

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