更新日: 2023.09.15 贈与

【タワマン節税】ついに国税庁が見直しを示唆! 2024年から「節税効果」はどうなる? 今後の見通しを解説

執筆者 : 川辺拓也

【タワマン節税】ついに国税庁が見直しを示唆! 2024年から「節税効果」はどうなる? 今後の見通しを解説
2024年から「タワマン節税」のルールが見直しされる方向です。タワマン節税とは、現金で高層階のタワーマンションを購入することで相続財産を圧縮する節税対策で、主に富裕層の相続対策として用いられる方法です。
 
しかし タワーマンションの購入価格と相続時の評価額に乖離が生じていることが問題視されており、国税庁がルールの見直しを検討し始めました。本記事では、タワマン節税がどのように改正されるのか、今後の見通しについて解説します。
川辺拓也

執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)

2級ファイナンシャルプランナー

タワマン節税の仕組みと問題点

タワマン節税の仕組みと、なぜ見直しをする必要が生じたのか、これまで問題視されていたポイントについて解説します。
 

タワマン節税の仕組み

タワマン節税は、時価と相続時における評価額の差額にスポットをあてた節税手法です。
 
現金が相続される場合、保有額と同額がそのまま相続税に評価されます。しかし、不動産を購入して相続する場合、相続時の評価額は時価(購入価格)より目減りします。
 
さらに、マンションの場合は土地の広さに応じて評価額を少なくできるので、戸数が多く広いタワーマンションだと、さらに節税の効果が高くなります。
 

タワマン節税の問題点

タワマン節税の指摘されてきた問題点は、低層階と高層階の評価額です。購入価格は、低層階に比べて高層階のほうが高いにもかかわらず、相続時の評価額は同じ金額となります。
 
そのため、高層階の物件を活用した相続対策のほうが、節税効果が大きくなっています。
 
実際に図表1のように国税庁がまとめている事例を見ると、都心か地方かにかかわらず、市場価格(時価)と評価額の乖離が2倍以上もありました。
 
図表1
 

 
国税庁 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について
 
特に都内の一等地にあるタワーマンションは時価が高いため、富裕層が大幅に節税を兼ねて相続できる方法となっています。では、どのように税制が見直されるかを確認しておきましょう。
 

タワマン節税がどう見直される?

現行の相続税評価額は、以下の通り計算されます。
 
・建物の相続税評価額(固定資産税評価額)+土地の相続税評価額(土地面積×持ち分割合×路線価等)
 
この計算方法だと、市場価格が高くなりやすい高層階の特性が、相続税評価額に反映されません。そのため、新たに変更される評価方法を、以下の通りにする見通しです。
 
・現行の相続税評価額×評価乖離率×最低評価水準0.6
 
見直し案で新たに加わるのが「評価乖離率」です。評価乖離率は、市場価格と評価額との乖離を補正するもので、築年数や総階数、所在階、敷地持ち分狭小度が相続税の算定に用いられます。
 
さらに「最低評価水準0.6」という項目を加え、タワーマンションの相続税評価額を最低でも時価の6割程度になるようにしています。一般的に、一戸建ての平均的な水準が時価額の6割なので、同水準となるように補正される見込みです。
 

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今後のタワマン節税がどのように利用されるか注目

2024年から見直される予定のタワマン節税の仕組みと、今後どのようになるのかについて解説しました。
現行制度では、高層階ほど節税効果が大きい仕組みとなっていました。しかし、2024年以降は高層階のタワーマンションを相続対策として購入しても、相続税評価額が引き上げられるため節税効果は薄れるでしょう。
 
とはいえ、不動産取得を目的とした相続対策は一般的に広く用いられる方法です。相続税の節税対策については専門家に相談するなど、ご自身に合った対策方法を考えるとよいでしょう。
 

出典

国税庁 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について(2023年1月31日)

国税庁 マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について (2023年6月30日)

 
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー

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