更新日: 2023.09.20 その他相続

どこから「名義預金」? 子ども名義の預金口座で親が注意すべきケースとは

どこから「名義預金」? 子ども名義の預金口座で親が注意すべきケースとは
子どもの将来のために貯蓄目的などで、親が子ども名義の預金口座を開設するご家庭は多いのではないでしょうか。しかし、口座の名義と実際に口座を管理している人が異なる場合は、注意が必要です。
 
本記事では、どのようなケースが名義預金にあたるのか、子ども名義の預金口座で注意するポイントなどを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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名義預金とは?

名義預金とは、預金口座の名義人と実際に管理している人が異なる口座のことです。例えば、次のような預金口座が名義預金にあたります。


・子ども名義の口座を親や祖父母が開設して使用している
・主婦(夫)が配偶者の給与を自分名義の口座で管理している

法律では名義預金に関する定義はありませんが、相続時にトラブルになりやすいため注意が必要です。
 

名義預金は税務調査の対象になりやすい

口座名義人と口座の使用者が異なる名義預金は、口座名義人が亡くなったときに税務調査により、名義預金となってしまうことがあるので注意しましょう。
 
しかし、名義預金の場合は普段から別の人が使用や管理をしているため、相続税の申告漏れが多いようです。国税庁が発表した「令和3事務度における相続税の調査等の状況」によると、全てが名義預金ではありませんが、申告漏れ相続財産のうち現金や預貯金は32.2%を占め、その額は705億円にものぼります。
 
名義預金は故意に隠していても、存在を失念していても、ペナルティーが課されます。具体的には次のようなものがあります。


・財産を隠していた:重加算税
・期限内に相続税の申告をしなかった:無申告加算税
・申告はしていたが納税額が少なかった:過少申告加算税
・申告期限までに納税しなかった:延滞税

被相続人(亡くなった人)に名義預金がある場合は早めに対処しておきましょう。
 

どこから名義預金とみなされる? 子ども名義の預金口座の場合

名義預金で特に気をつけたいのが、子ども名義の預金口座です。子どもの将来の学費や結婚費用のために、親や祖父母が貯蓄しているご家庭も多いでしょう。
 
しかし、口座を管理していた人が亡くなったときに、名義預金とみなされることがあります。名義預金かどうかの判定基準は、次の通りです。


・名義預金の原資は誰のものか
・口座を管理・使用していたのは誰か
・贈与が成立しているか

以下で、それぞれについて詳しく解説します。
 

名義預金の原資は誰のものか?

預金の原資、つまり誰のお金なのかは、名義預金かどうかを税務署が判断する基準のひとつです。子ども名義の預金口座の場合、子ども自身のお金を預金しているなら問題ないのですが、生活費や教育費を大幅に超えた金額の場合は、名義預金とみなされる可能性が高くなります。
 

口座を管理・使用していたのは誰か?

子ども名義の預金口座を実際に管理・使用していたのが、親や祖父母など本人以外の場合、名義預金と判定されることがあります。具体的には印鑑や通帳、キャッシュカードの管理や口座にお金を入出金していたのは誰か? がポイントです。
 

贈与が成立しているか?

親や祖父母が子どもや孫のために貯蓄目的で子ども名義の預金口座を使用している場合、贈与が成立しているかどうかも重要です。贈与が成立していれば、名義預金とみなされません。
 
子どもが未成年の場合は、親権者が意思表示をしていれば贈与が成立します。ただし、子どもが成人してからは、子ども名義の預金口座があることを子どもに認識させ、贈与に同意していなければなりません。
 

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子ども名義の預金口座で注意すべきこと

子ども名義の預金口座には、貯蓄や教育資金の確保などさまざまな目的があります。しかし、税務署に名義預金と判定されてしまうと、税務調査の対象になるなどデメリットが生じます。
 
せっかく子どものために貯蓄していた預金がトラブルの元になるのは、避けたいところでしょう。子ども名義の預金口座で注意したいポイントは次の通りです。


・贈与税がかかる
・10年以上利用しないと休眠口座になる
・子どもの成人後、親は預金が引き出せない

以下で、それぞれについて対処方法もあわせてご紹介します。
 

贈与税がかかる

子ども名義の預金口座で貯蓄をして、子どもが成人したときに口座をそのまま子どもに渡す場合、贈与とみなされ贈与税が課税される場合があります。ただし、税金の基礎控除額である110万円以下の贈与に関しては、贈与税はかかりません。
 
子どもが生まれたときから預金口座を開設して、コツコツ貯蓄していれば年間に110万円を超えることもあるでしょう。その場合は、貯蓄額が110万円を超える前に、子どもに預金口座があることを教え、子どもと一緒に管理をするのもひとつの方法です。
 
まだ小さい子どもに預金口座の管理を任せるのは不安かもしれませんが、親と一緒に通帳やキャッシュカードを使って入出金などをすれば、お金の教育としても有効です。
 

10年以上利用しないと休眠口座になる

預金口座は10年以上の取引実績がないと休眠口座になり、口座の入出金が容易にできなくなります。子どもが小さい頃に預金口座に入金して、10年以上放置していると休眠口座になってしまう可能性が高いです。口座開設後はこまめに入出金を行い、預金口座を使いましょう。
 

子どもの成人後、親は預金が引き出せない

預貯金の引き出しなど、銀行口座の管理は原則本人のみが行えます。子どもが成人すると、名義人の子どもの口座として扱われるため、親は預金の引き出しができなくなります。
 
仮に親が取引する場合は、子どもの委任状が必要となります。子どもの成人前に必要な学費などを貯蓄するのは、親権者の口座がよいでしょう。
 

子ども名義の預金口座は名義預金とみなされないよう注意!

子どもの将来のために貯蓄していても、名義預金とみなされれば、相続時にトラブルが生じます。せっかくの貯蓄をきちんと子どもに渡すためには、名義預金とみなされないよう注意が必要です。万が一のことも考えて、贈与が成立するように対処しておきましょう。
 

出典

国税庁 令和3事務度における相続税の調査等の状況
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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