家族が亡くなった場合、まずは口座から「300万円」を最優先で下ろすべき? 必要な費用や注意点を解説
配信日: 2023.10.03
本記事では、家族が亡くなったときに必要なお金と銀行の口座凍結について解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
家族が亡くなったあとにかかるお金
人が死亡した後にかかる葬儀費用、寺院費用、飲食接待費用など葬儀関連費用の合計は平均で約200万円という調査があります。このほか、故人が入院していた場合はその費用、家族の当面の生活費なども含めると300万円程度は準備しておきたいところですね。
なお、ここ数年はコロナの影響で小規模な葬儀が増えたことにより、葬儀関連費用は200万円を切っているようです。
死亡した人の口座は凍結される
「死亡後にかかるお金は故人の口座から引き出したらよい」と思っていませんか? 確かに口座に残高があればまかなえる話ではあるのですが、口座凍結には注意が必要です。
銀行は口座名義人の死亡を知ると、名義人の財産を守るために口座凍結を行います。凍結された口座からは、預金の払い戻しはもちろんのこと、自動引き落としなどすべての取引ができなくなります。
口座凍結解除は相続手続きが終わるまで
口座凍結は相続手続きが終わるまで続きます。口座名義人の預金を誰が相続するのかを証明する「遺産分割協議書」も必要書類となります。つまり、人が死亡した後に必要な300万円を引き出せなくなりますし、葬儀費用など直近の支払いには間に合わないケースがほとんどでしょう。
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家族が亡くなったときは最優先で300万円おろしておく
いくら家族であっても、300万円もの大きなお金を立て替えるというのは難しい場合も多いでしょう。そこで、家族が亡くなったときは、銀行に口座名義人の死亡の連絡をする前に、最優先で300万円おろしておくことをおすすめします。
ただ、故人のお金を親族の承諾を得ないまま勝手に引き出すと相続トラブルが起こる可能性があります。相続人となる人全員の了解を得たうえで引き出しをおこない、使ったお金については領収書などを取っておき、着服がないことを証明できるようにしておきましょう。
ただし、自分以外の人の口座から預金を引き出す行為は気になるところです。世間一般的にはありふれた行為ではあるのですが、原則として口座から預金を引き出せるのは口座名義人本人のみだからです。ためらいがある人は、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を利用するとよいでしょう。
遺産分割前の相続預金の払戻し制度がある
預金の相続人が決まる前であっても、死後の資金問題を考慮して一定額までであれば引き出せる制度があります。
原則として引き出せる金額に上限があること、多くの書類や手続きが必要などのデメリットもありますが、適法な手続きをへてお金を引き出すので、ほかの相続人とトラブルになることが避けられます。
まとめ
家族が亡くなったときは、葬儀会社との打合せ、死亡届の提出、年金などの膨大な手続きに追われます。その中でも、必要資金の準備は最優先で行うことをおすすめします。故人の口座が凍結されるとすぐにお金を引き出せなくなるからです。
故人が入院していた場合、大きな病院にはATMが置いてあることも多いので利用するとよいでしょう。
出典
株式会社鎌倉新書 【葬儀】第5回お葬式に関する全国調査(2022年)
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士