更新日: 2023.10.05 贈与

大学の友人が「おじいちゃんから100万円もらった!」と金持ちマウントしてきました。税金は大丈夫なんですか?

執筆者 : 柘植輝

大学の友人が「おじいちゃんから100万円もらった!」と金持ちマウントしてきました。税金は大丈夫なんですか?
大学生にもなるとお小遣いの額が増えたり、親や祖父母から多額のお金を受け取ったりする機会もあるようです。
 
友人から「おじいちゃんから100万円もらった!」などと自慢された経験がある方もいるかもしれません。そんなときに気になるのが、税金の取り扱いです。祖父母から100万円もらった場合にかかる税金について考えていきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

贈与は年間110万円まで非課税

一般的に祖父母からもらうお金は贈与に該当します。そして贈与に対しては贈与税が発生します。しかし、実際にお金や物の贈与を受けても、贈与税を支払った経験のある方は少ないでしょう。
 
それもそのはずで、贈与税には基礎控除が設定されており、1円でも財産を受け取ったら発生する、というわけではないからです。具体的には、1年間(1月1日から12月31日)に受け取った贈与の総額が110万円以下であれば、基礎控除の範囲内として贈与税はかからない、というものになります。
 
したがって、仮に大学の友人の「おじいちゃんから100万円もらった!」という発言が事実であったとしても、直ちに贈与税が発生するとは限らないのです。
 

ほかに贈与があれば、贈与税が発生する可能性もある

もし、友人がすでに年内に、祖父あるいは他の人から11万円以上贈与を受けている場合は、贈与税が生じる可能性があります。
 
贈与税の基礎控除である110万円は、1年間で受け取った全ての贈与で計算します。例えば、祖父から100万円もらい、同一年内に祖母から30万円受け取ったという場合は、年間で受けた贈与の額が130万円となります。この場合は基礎控除の110万円を超えているため、贈与税が発生する可能性が高いでしょう。
 
図表

図表

出典:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
 
参考までに、大学生が祖父から受け取る贈与は「特例税率」が適用されます。特例税率とは、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の方が祖父母など直系尊属から贈与を受けた場合に、適用される税率です。特例税率は10%から55%の税率が適用されます。
 
例えば、大学生が祖父から年間で合計200万円受け取っていた場合、生じる贈与税の額は9万円になります。
 

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一定の目的があれば、非課税となることもある

贈与税は一定の場合に、金額の過多にかかわらず非課税とされることがあります。そのうち、大学生が該当する可能性の高いものとしては、扶養義務者から受け取る教育資金や生活費があります。
 
祖父は法律上、孫の扶養義務者に該当します。そのため、大学の学費を払うために受け取ったお金や、生活費として受け取ったお金であれば、金額にかかわらず贈与税は生じません。
 
高額な学費が必要となる大学生であれば、学費や生活費の一部ないし全額を、父母に代わって祖父が負担しているということもあり、特段おかしいことでもありません。
 
ただし、これらは必要な都度直接充てられるものに限られます。そのため、「大学4年分の学費として、一括して110万円を超えるお金を受け取っている」というような場合は、贈与税が発生する可能性があります。
 

まとめ

大学の友人が「100万円もらった!」と自慢をしてきたとしても、他にも多額のお金を受け取っているような限定的な場合でない限り、税金は問題なさそうです。
 
モヤっとする部分もあるかもしれませんが、人間関係を円滑にするためにも、あまりこの辺りの問題に対して、過度に突っ込んまない方がよいかもしれません。下手に掘り下げて話していくと、友人との関係に亀裂が生じる可能性もあります。
 
友人がお金持ち自慢をしてきても、それについては「お金について考えるよい機会ができた」と割り切るか、もしくは贈与税の存在について軽く説明してあげるのもひとつの手かもしれません。
 

出典

国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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