もし宝くじ1億円が当たっても自分で使わず、妻や子に「相続」したら相続税はどれくらいになるのですか?
配信日: 2023.10.10
本記事では、1億円を相続する場合の相続税率や計算方法、シミュレーションなどについて詳しく解説します。本記事を参考にして、相続を計画的に進める準備に役立ててください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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宝くじの当せん金には所得税はかからないが、相続税の対象になる
宝くじの当せん金には、所得税がかかりません。「当せん金付証票法」により非課税と規定されているため、当せん金をそのまま受けとることができます。住民税も課税されず、確定申告も必要ありません。
ただし、宝くじの当せん金を相続する場合には、相続税が発生する可能性があることに注意が必要です。相続税の金額は相続する金額によって決まるため、高額な当せん金を相続する場合は、多額の相続税がかかる可能性があります。
1億円相続する際の税率や計算方法
相続税は、法定相続分に応じた取得金額によって税率が決まり、基礎控除や税額の計算方法は複雑です。相続税率(速算表)や税額の計算方法を事前に理解することは、宝くじの当せん金を計画的に相続するために重要です。
本項では、相続税の税率や1億円相続する際の計算方法、シミュレーションなどについて見ていきましょう。
相続税の税率
相続税の税率は法定相続分に応じた取得金額によって、税率や控除額が異なります。具体的には、図表1のとおりです。
【図表1】
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1000万円以下 | 10% | なし |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
(国税庁「相続税の税率」をもとに筆者作成)
相続税の計算方法
相続税を計算する場合は相続財産を集計し、そこから基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引き、課税遺産総額を計算して、各法定相続人の取得金額を算出します。そのうえで、各法定相続人の取得金額に相続税率を乗じて税額を計算し、各法定相続人の税額を合算し、相続税の総額を算出します。
相続税のシミュレーション
例えば、宝くじで1億円当選し、その賞金を相続する場合を考えます。相続人は配偶者と子ども2人の計3人です。
この場合、法定相続分は配偶者が半分(2分の1)、子ども2人分を合わせても半分(2分の1)となります。遺産総額は1億円ですので、基礎控除は4800万円(3000万円+600万円×3人)であり、課税遺産総額は5200万円となり、法定相続分に分けた金額が、以下のとおりです。
●配偶者:2600万円
●子ども:1人あたり1300万円
上記の金額を、相続税の速算表にあてはめて1人あたりを計算します。
●配偶者:2600万円×15%−50万円=340万円
●子ども:1300万円×15%−50万円=145万円
上記の税額を合算すると、630万円(340万円+145万円+145万円)となります。
最後に、各相続人の相続割り合いにしたがって、相続税額を算出します。
例えば、相続割り合いが、配偶者が70%で、子どもが1人あたり15%の場合、配偶者が支払う相続税額は441万円(630万円×70%)、子どもが支払う相続税額は1人あたり94万5000円(630万円×15%)です。
(※ここでは基礎控除以外の控除は考慮していないため実際とは異なる場合があります)
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相続税のことも考慮して、早めに相続税対策や家族との共有を行いましょう
宝くじの当せん金は、所得税や住民税の対象からはずれますが、相続税はかかります。そのため、大金を残す場合、相続税が高額になる可能性があることを認識しておきましょう。もしも宝くじで大金が当選し、相続を検討している場合、早めに相続対策を検討したり、家族との共有を考えたりするとよいでしょう。
出典
国税庁 相続税の税率
国税庁 相続税の計算
国税庁 相続人の範囲と法定相続分
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー