更新日: 2023.10.12 贈与

田舎の祖母が「たまにしか会えないから」と10万円を手渡しでくれました。申告などせず、そのまま受け取ってもいいのでしょうか?

執筆者 : 柘植輝

田舎の祖母が「たまにしか会えないから」と10万円を手渡しでくれました。申告などせず、そのまま受け取ってもいいのでしょうか?
「遠方に住む祖母に会ったとき、高額なお金を受け取った」という話はよく聞きます。その際に気になるのが税金の話です。10万円の現金を祖母から手渡しで受け取った場合、税金について何らかの処理が必要となるのでしょうか。
 
本記事では、祖父母から受け取るお金と税金の関係について説明していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

贈与税は年間110万円を超えた部分にかかる

祖母から受け取ったお金にかかる税金の候補としては、贈与税が挙げられます。贈与税とは、1年間(毎年1月1日から12月31日の間で計算します)に受け取った贈与の額が110万円を超えた場合にかかる税金です。祖母から1年のうちにたった1回きり10万円を受け取ったくらいであれば、贈与税はかからないため、申告も納税も不要です。
 
ただし、毎月のようにお金を受け取っている場合は要注意です。10万円ものお金を毎月受け取っていると、年間では120万円となり、非課税となる範囲の110万円を超えてしまいます。
 
また、他者から贈与を受けている場合も注意です。例えば、「田舎の祖母からは10万円しか受け取っていないけれど、近くに住んでいる祖父からは200万円を受け取った」という場合や、「親から就職祝いで高額なお金を受け取っている」というような場合も注意が必要です。
 
贈与税は贈与を受けた額で計算されるため、1人当たりの贈与額は110万円以下でも、合計すると110万円を超える場合は、贈与税が発生します。
 

生活費や学費のためであれば110万円を超えても非課税となる

年間で110万円を超える贈与を受けても贈与税が非課税となることがあります。一例として、扶養義務者から受け取る財産のうち、生活費や学費に必要な都度直接充てられるものがあります。
 
例えば、大学生で一人暮らしをしている孫が、祖母から「今月支払う学費や生活費に充てる」という目的で受け取ったお金は、贈与税が非課税になります。直系の血族である祖母は法律上、扶養義務者に該当するからです。
 
なお、父母がまだ生きていて扶養するだけの資力を有している場合においても、祖父母は扶養義務者に該当します。
 
ただし、孫が生活費と学費を父母から受けていて、祖母から名目上「学費」や「生活費」として受け取っているお金を、実際には貯蓄していたりお小遣いとして使っていたりする場合は、単なる贈与として110万円を超えた部分に贈与税がかかる可能性があるため、注意してください。
 

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申告が必要な場合に申告をしないとどうなる?

もし年間で110万円を超える贈与を受け、それについて申告と納税をしない場合、どうなるでしょうか。多くの方が「手渡しでもらっていたら分からないでしょう」と思うかもしれません。
 
しかし現実には、手渡しの贈与でも、税務署が気づくことは往々にしてあります。その原因の一つに相続があります。相続が起こると、亡くなった方のお金の流れについて、税務署が過去にさかのぼって調査することがあるため、申告もれがそこで発覚するのです。
 
もし、申告と納税をしていないことが発覚した場合、最大で年14.6%もの延滞税に加えて、加算税なども加算されるおそれがあります。
 

まとめ

1年間で受け取ったお金が10万円であれば、贈与税は発生しないため、申告も納税も必要ありません。ただし、年間で110万円を超えてしまうと、学費や生活費などに必要な都度直接充てられるものを除き、たとえ手渡しであっても贈与税が発生することになります。
 
贈与税の仕組みは複雑です。気になることがあれば、自身の住所地を管轄する税務署へ相談してみてください。
 

出典

国税庁 No.4429 贈与税の申告と納税
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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