更新日: 2023.10.24 その他相続

相続争いはなぜ起きる? 円満相続のために大切な3つのこと

執筆者 : 秋口千佳

相続争いはなぜ起きる? 円満相続のために大切な3つのこと
今や日本の100歳以上の人口は、令和5年9月1日現在で4万7107人(※)にもなります。超高齢化社会に突入している日本において、相続に関する悩みは、小さなことから大きなことまで、さまざまあります。
 
中でも相続財産の分け方による争いは、相続財産の金額の大きさに関係なく発生する問題です。今回は、争わずに円満に相続を実行するために大切な3つのことをお伝えします。
秋口千佳

執筆者:秋口千佳(あきぐちちか)

CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

争いはなぜ起こるのか

「地獄の沙汰(さた)も金次第」「いつまでもあると思うな親と金」「金の切れ目が縁の切れ目」など、お金に関することわざは昔から存在し、いろいろな意味で日本人は、お金の必要性を教えられています。つい、お金があれば何とかなるかも、という考えを持ってしまうこともあるでしょう。
 
このような考えをもって生活している中で、親から資産(預貯金、土地建物、株式等)が無償でもらえるとなると、少し心がざわつくのは当たり前です。さらには、兄弟姉妹がいると、他の兄弟姉妹がいくらもらったのか、自分と不公平はないのか、といったことが気になるのも無理はありません。
 
そのため、相続の際には小さないざこざから大きな争いまで起こってしまうのです。
 

円満相続のために大切な3つのこと

相続を「争族」と書く広告を見たことがある人もいるでしょう。しかし、なかには争いのない相続があるのも事実です。では、そういった争いのない相続にするために必要ことは何なのでしょうか。
 
ここでは次の3つを紹介します。

(1)相続財産の一覧表を作成する
(2)相続財産の分け方は、家族でしっかり話し合う
(3)相続税が発生するのか発生しないのかを確認しておく

 

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相続財産の一覧表を作成する

相続財産の一覧表を作成しておくことは、生前に相続財産の分け方を話し合う際に、その一覧表をもとに話し合いができるため、ぜひ作成してください。また、争いを防ぐ目的のほか、相続の手続きにも役立ちます。
 
例えば、銀行等や証券会社の金融機関の名義変更手続きは、金融機関の数が多ければ多いほど大変です。そのため、使っていない口座があるのであれば、生前に閉じるかといった検討材料になります。
 
また、不動産が多い場合は、相続財産として相続税の計算の対象になる反面、納税資金にはなりません。そのため、納税資金対策をしなければいけないかの検討材料となります。さらには、マイナスの財産(住宅ローン、奨学金、クレジットカードのリボ払い等)があるかの確認もできるので、ぜひ、作成してみてください。
 

相続財産の分け方は、「家族」でしっかり話し合う

相続財産の分け方は、親の財産なので親の思いだけで決めるのがシンプルですが、そのようなことはほとんど実現しません。
 
「法定相続分」といって、法律で決められた相続の割合がありますし、「遺留分」というものがあり、その割合を超えて多くの財産を取得すれば、その割合に達しなかった人から足りない分を補てんしてください、といった請求をされることもあります。
 
こうした争いを避けるためにも、大切なのは「家族会議」を行うことです。普通に考えると親子で話し合えば問題ないと思いがちですが、「家族会議」と書いたのは、親子だけでなく、親子と「子の配偶者」、あるいは「孫」も含めて会議をするべきだからです。争いのもとは、「子の配偶者」と「孫」が多いからです。
 
ぜひ、相続で争う前に、親が元気なうちに話し合いの場を設けてください。
 

相続税が発生するのか発生しないのかを確認しておく

相続税が発生するかしないかを確認しておくと、相続人が負担すべき税額が分かり、家族の中で負担額の不公平感の確認もできます。相続が発生すると必ず相続税が発生するわけではありません。また相続税が発生しないけれど、相続税の申告はしなければならない、といったケースもあります。
 
そこで、財産の一覧表をもとに専門家に相談するなどして、相続発生後のシミュレーションをしておく必要があります。
 
いまはインターネット上に多くの情報が飛び交っているため、ある程度のシミュレーションはできるかもしれませんが、誤情報が掲載されていることもあります。また、法律が変更になっていたりもするので、できれば専門家に相談して正しい情報を得てください。
 

相続は争族ではなく、円満かつ笑顔で

相続は争いではなく、円満かつ笑顔で行うことで、すがすがしく先人を送れるものです。自分に万一のことがあったために、家族が離散するなんて、絶対に先人は望んでいません。
 
そのような悲しいことにならないためにも、健康なうちに親子でしっかり話し合い、必要であれば子の配偶者や孫もまじえて、腰をすえてしっかり話し合いをしましょう。そうすることで、1つの心配ごとが親子ともになくなることになるのです。
 

出典

(※)厚生労働省 百歳高齢者表彰の対象者は47,107人
 
執筆者:秋口千佳
CFP@・1級ファイナンシャル・プランニング技能士・証券外務員2種・相続診断士

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