更新日: 2023.10.26 その他相続

【新たな制度、相続登記義務化】令和6年以降の変更点とは?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

【新たな制度、相続登記義務化】令和6年以降の変更点とは?
昨今はニュースになることもありますが、持ち主が分からないまま放置されていたり、または管理がされていなかったりする建物や土地の存在が、問題となっていることを知っていますか。今回は、その対策のひとつとしても注目されている、令和6年4月からの「相続登記の申請の義務化」について解説します。
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相続登記がされない場合の理由のひとつは、「持ち主不明」という状態

そもそも、建物や土地の所有者が不明だと、どのような問題があるのでしょうか。
 
通常、不動産の持ち主が亡くなると誰かが引き継いだり、または国に返還したりして、所有権の移転が行われます。ところが、これがなされず時が流れると、さらに次の持ち主が亡くなり、また相続が生じ、代替わりして……ということが繰り返されて、現在の持ち主にたどりつくことが困難になります。
 
こうした何らかの手続きや処分のできない土地は防災や減災、まちづくりなどの公共事業の妨げになっており「荒れた建物が崩壊しかけて近隣住民が怖がっている」などの問題にもつながっています。
 
その中でも所有者不明、またはそのおそれのある農地は、農林水産省の調査によれば全農地の約2割を占めており、農業の担い手への集積や集約化が進まないことが問題視されています。
 

亡くなった方の不動産を取得する、3つのパターンについて

今回、不動産登記法の改正により、相続登記を申請する義務が生じる場合を整理すると、以下の3パターンが考えられます。
 

1.法定相続で不動産を取得した場合
法律で定められた割合(法定相続分)で亡くなった方の不動産を取得した場合です。
 
2.遺産分割協議で不動産を取得した場合
財産をどのように分けるか協議・話し合いを行って、結果、亡くなった方の不動産を取得した場合です。
 
3.遺言によって不動産を取得した場合

 
令和6年4月1日以降は、不動産登記法の改正により、上記3つのパターンいずれにせよ、相続や遺贈により不動産の所有権を取得した者は、相続開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から、3年以内に相続登記(所有権移転登記)の申請をする義務が生じることになりました。正当な理由なく義務に違反した場合、10万円以下の過料が科される場合もあります。
 

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遺産分割協議が3年以上かかりそうな場合は

前述のパターン2.のように遺産分割協議で不動産を取得した場合、協議が長引いて決まらないことも想定されます。その間に3年が経過し義務違反になる、ということを避ける方法があります。
 
それは「相続人申告登記」という新設された制度です。相続人が不動産所在地の法務局で自分の戸籍謄本などを提出して、自分が相続人であることを申告する、比較的簡易な手続きです。ただし、その後に協議が成立して相続が決まったら、名義を正式なものに変更しなければなりませんので、注意が必要です。
 
遺産分割協議が成立し、話し合いがまとまったという場合は相続登記の申請をすればよく、もし話し合いによる解決が難しく時間がかかりそうな場合は、この新設された相続人申告登記の申請をしておくのがよいでしょう。
 

令和6年4月1日以前に取得した不動産の登記申請の義務は?

改正法が施行される前に、相続、遺贈により不動産を取得して、まだ相続登記をしていないという場合も、登記の義務が発生します。改正法はさかのぼって適用されるからです。なお、施行日から3年間は猶予期間にあたるため、施行日から3年以内(令和9年3月31日まで)に相続登記の申請をしましょう。
 

まとめ

今回は、相続登記の申請が義務化されたことと、相続人申告登記という仕組みをご紹介しました。遺された相続人たちの話し合いで遺産を分けるのが難しい場合は、相続人申告登記をすることで、期限切れによる義務違反を免れることができます。
 

出典

法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~

農林水産省 所有者不明農地の活用について

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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